研究課題/領域番号 |
26380793
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研究機関 | 聖隷クリストファー大学 |
研究代表者 |
横尾 惠美子 聖隷クリストファー大学, 社会福祉学部, 教授 (10369473)
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研究分担者 |
中村 京子 九州大谷短期大学, その他部局等, 教授 (00597099)
野田 由佳里 聖隷クリストファー大学, 社会福祉学部, 教授 (20516512)
重松 義成 帝京科学大学, 医療科学部, 助教 (10390337)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 共生型介護 / 自立支援介護 / 外国人介護職 / 技能実習生 / 介護職の離職 / 介護施設の運営 |
研究実績の概要 |
介護領域について国は大きな方針を出してきた。共生型介護を導入し、自立支援介護を推し進めそれが介護報酬として反映されること、また介護人材としてはEPAや技能実習生による外国人にまで広げている。 これまでの研究により、離職意思の誘因には施設の運営方針や管理職の能力が強く関連していることが分かっている。そのために、これからの国の方針と合致する自立支援介護をすでに実践し効果を上げている施設(夢あかり)の施設長にインタビュー調査を行った。その結果、介護職全員が自立支援介護の意義を理解し、自立支援介護に全員でとり組むこと、介護職に裁量権を多く持たせることを大事にしているということが分かった。この施設では介護報酬の加算項目も介護職が理解しているため、加算を得るための介護にも力をいれ、それが結果的に介護の質の向上につながり、やりがいのある介護実践へと発展しているという。 国の外国人介護職の導入の推進に対して、施設運営面で現在いる介護職が外国人導入をどのように受け止め、そのための準備として、何をシステム化しておくべきかということもこれからの研究課題になる。外国人が参入することにより、今以上に介護職の離職率が高まることにならないように、言葉や文化の違う人たちが職場にいても混乱なく安心して働くことのできる環境を整備する必要がある。そのためこれから高齢社会に向かうベトナムの介護施設を訪問し施設庁から話を聞いた。ベトナムは要介護状態になっても家族で世話をするということが当たり前であり、あまり介護施設の需要はない。しかし近年有料老人ホームのような高齢者向けの施設は増えている。しかしまだ介護という概念が確立しておらず、介護の質の向上についての認識も低い。看護師養成を行っているハノイ大学にも訪問した。学生は卒業後に日本で働きたい、又は留学生として日本の専門学校に入学したいという希望が高いことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の3年目は管理職用の研修マニュアルを作成するためのワーキンググループを立ち上げる予定であったが、その過程において管理者が自分たちの研修マニュアルを作成する必要性を感じておらず、協力を得ることが難しいこと、マニュアルを作成しても使用しないだろうということが判明した。また介護領域に関して国の大幅な方向転換を含む方針が示された。そのことも踏まえ研究計画の大幅な見直しが迫られた。 横尾の研究目的は、介護職の離職率の減少のため仕事を継続したいと思われるような、やりがいのある職場環境を構築するために管理者は何をすべきなのかということである。研究の対象者は管理職であるが、これまでの研究経過によって介護経営の増収につながらなければ管理職の取り組み姿勢は低いことも判明してきている。そのために介護報酬の増収につながる自立支援介護や人手不足を補うための外国人介護職の導入に関して、管理職の考え方や取り組み、環境整備などの現状把握と導入している場合には効果の検証と課題抽出を研究計画にした。
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今後の研究の推進方策 |
これから高齢化率が急増する国に対し介護施設や介護職の現状と介護職として就労するための外国人介護職員の来日の実現性について調査を行う。合わせて日本における技能実習生やEPAなどによって外国人介護職員の獲得の考え方について管理職に調査を行う。また同僚となる介護職員はどのように考えているかについても、調査を行い現状把握と課題の抽出を行う。それにより導入時の対策等も検討することができると考えている。 自立支援介護の導入について、管理者が積極的に導入を考えるのか、そのために職員教育をどのように行うのかを調査する。あわせて、これまで自立支援介護を実践してきている施設との差異を検証し、導入することが介護職のやりがいの向上や質の向上に効果をもたらすのかを解明する。 共生型介護においては、発祥地の富山型デイの理念を検証できるのか、実際的に理念を反映した運営が可能なのかを検証し、介護職のやりがいの有無についても検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
国の介護に関する政策が大幅に方向転換され、これにより研究計画の見直しが必要になったこと。また本来計画していた全国調査が研究の大幅な遅れによってまだできていないため。
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次年度使用額の使用計画 |
① 外国人介護人材の日本への流入の可能性について調査を行う(ベトナムを想定している)。② 自立支援介護を実践し効果を挙げている施設に訪問調査を行う。③ 共生型介護を実践している、又は導入を検討している施設への訪問調査を行う。④ 自立支援介護の導入の課題について全国の介護施設を対象に郵送調査を行う。⑤ 外国人介護職の導入の検討の有無や課題について全国の介護施設を対象に郵送調査を行う。⑥ 共生型介護の導入実態や課題について全国の小規模多機能型等の施設を対象に郵送調査を行う。以上の①~⑥の研究計画を実施するための費用として支出する。
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