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2016 年度 実施状況報告書

「不在の感覚」から生成される社会福祉実践-「中動相」の地平に着目して-

研究課題

研究課題/領域番号 26380796
研究機関聖隷クリストファー大学

研究代表者

福田 俊子  聖隷クリストファー大学, 社会福祉学部, 准教授 (20257059)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワードソーシャルワーカー / 臨床体験 / 自己生成 / 事例研究 / 中動態
研究実績の概要

平成27年度は、ソーシャルワーカー(以下、ワーカー)を対象とした前調査のナラティブ・テキストを精査することで、「節目」となる臨床体験は、1)「中動態」で生起する事象であること、2)「巻き込まれる」ことを基底とし、「教えられる」「問われる」という円環構造をなしていることを明らかにした。これらに加え平成28年度は、以下の三点が明らかとなった。
一つは、「節目」となる臨床体験は、「大きな節目」及び「小さな節目」に大別され、前者には①「転機」となる体験、②「原点」となる体験、後者には、③これまでの実践が肯定・強化される体験、④これまでの実践等に問いが投げかけられる体験、⑤新たな価値や視座が与えられる体験、⑥新たなワーカーとしての役割が求められる体験、が含まれるという点である。
二つには、「節目」となる臨床体験は、先に「巻き込まれる」という事象を基底に生起する現象であると指摘したが、ワーカーが「不在の感覚」を持ちながら「巻き込まれ続けること」が重要であり、すなわち「巻き込まれている」こと自体が中動態での事象であることを明らかにした。
三つには、ワーカーが「巻き込まれている」状況をつくり出す装置として重要なのが、職場内のスーパービジョン体制を整備することは勿論のこと、個人的自己と専門的自己を結びつけられるような「実践共同体」を所属組織外で創りだすことであることを指摘した。
以上の新たな知見を加えた上で、本研究の一部をまとめ、博士論文として完成させ、審査で受理された。なお、昨年度新たに実施することを計画した「臨床経験20年未満」のワーカーを対象とした調査については、平成28年度も実査には至らなかったが、調査依頼の内諾を得ることはできた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

博士論文の執筆と親の介護が重なり、平成28年度に実施予定であった調査に取り組むことができなかった。そこで研究期間の延長を申請し、承認されている。

今後の研究の推進方策

調査の実施が2年遅れているため、研究期間を4年とし、平成29年度に「臨床経験20年未満」のワーカー及び、「実践共同体」を生成してきた「臨床経験20年以上」のワーカーにインタビュー調査を実施する予定である。

次年度使用額が生じた理由

平成29年度に計画していたインタビュー調査を実施することができなかったため、それらにかかる旅費、謝礼、テープ起こし代金にかかる支出がなかったことにより、次年度の使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

平成29年度に調査を実施する予定であるため、平成28年度の未使用額の多くを、旅費、謝礼、テープ起こし等に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 図書 (1件)

  • [図書] ソーシャルワーカーの自己生成過程における専門的自己の構築と解体-中動態から生起する臨床体験-2017

    • 著者名/発表者名
      福田俊子
    • 総ページ数
      1-177
    • 出版者
      法政大学

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公開日: 2018-01-16  

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