研究課題/領域番号 |
26380798
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
野口 典子 中京大学, 現代社会学部, 教授 (10142647)
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研究分担者 |
久保 美由紀 会津大学短期大学部, 社会福祉学科, 准教授 (10352791)
伊藤 葉子 中京大学, 現代社会学部, 准教授 (80319144)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 介入型ニーズ把握 / アセスメント力 / 応急的社会資源 / ニッチワーク / 前方連携 |
研究実績の概要 |
「福島県相談支援専門職チーム」の活動経過からの知見 1)介護・福祉は医療の後方支援にあるものと理解してきたが、むしろニーズ把握・分析・判定を即時に行い、「暫定的ケアプラン」の作成を行い、アセスメントしていくことが重要である。ソーシャルワーカーに求められる資質は、避難所における信頼関係の形成であり、その信頼関係に基づく介入型ニーズ把握と分析、アセスメント力である。2)アセスメントされたことが支援につながらなくては、信頼関係は形成されないのであり、アセスメントされたことが支援へとつなげられる道筋をつくらなくてはならない。災害時という局面では、つなげる社会資源が喪失しているという課題に直面するのである。ネットワークとチームワークによる「応急的社会資源」をつくりだすということであった。それには日頃からの専門職同士の関係の形成が重要であった。3)危機介入において「肩書で仕事をする」ということが必要である。その場合、自治体行政の中で、いまだにソーシャルワーカーに対する認識を高めていくことが重要である。4)ソーシャルワーカー自身の混乱は大きく、ことに組織の中で定型的、定式的な仕事を日常的にこなしてきた中では訓練できえないことであり、研修体制の強化が不可欠である。ソーシャルワーカー自身も被災者であり、仕事か家族かを突きつけられることはしばしばであった。重要なのがチームワークであり、日頃の組織化を基礎にして有効に機能したといえる。5)ニッチワークの必要性である。平時よりもさらにサービス、制度にあてはまらないニーズが山積するということであり、サービスありきのソーシャルワークの限界をまざまざと感じたとのことであった。6)災害時において、ソーシャルワーカーは“後方支援”に回るというような消極的方法ではなく、“前方連携”ともいうべく、災害発生時に即座に支援に入ることこそが、支援を継続させることになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
専門職の支援活動に関するアンケート調査の実施、分析が終了しており、さらに個別支援ケースに関する検討会の実施の目途がたっている。
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今後の研究の推進方策 |
福島県相談支援専門職チームのメンバーで継続的に支援活動を行っている専門職へのアンケート調査を実施した。その分析を行いながら、さらに個別支援ケース検討会を行っていく。 また、長期避難者が暮らす仮設住宅におけるコミュニティの再編成に関するヒアリングを行ってきており、その結果をまとめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
科研の申請段階では中京大学の内外研究が決定していなかったため、大学から東北、とくに福島県までの旅費について計上したが、2014年度は中京大学内外研究として、福島県会津若松市に拠点をおいて、研究を遂行したため、旅費に関して、当初よりも負担が少なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
福島県相談支援専門職チームのメンバーとの定期的事例検討会の実施を予定しているため、福島県への出張が予定よりも頻繁になるため、旅費、謝金の支出が予定よりも必要となった。
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