研究課題/領域番号 |
26380799
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
柏原 正尚 日本福祉大学, 健康科学部, 准教授 (40454409)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 介護福祉士 / 離職 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、介護福祉士の就業・離職行動における関連要因の探究である。 研究1年目の平成26年度は、1、高齢者施設における介護職員の離職に関する研究動向レビュー、2、介護福祉士養成施設A専門学校卒業生への就業・離職状況調査、3、同卒業生への就業・離職状況ヒアリング調査、を実施した。 既存研究では、介護職員の離職意向に対する関連要因の分析を主とするものが多く、本研究のような就業・離職行動を分析項目に据えるものは希少である。そのため、本研究においても、就労・離職行動という行動の把握だけでなく、就労している者には離職意向、未就労の者には就労意向となるような質問項目を調査票に加え、離職意向という意識及び離職行動という行動のいずれも分析に用いることができるよう調査設計して実施した。平成26年度は第1次調査であり、養成施設卒業時より調査時点までの就業・離職行動と、調査時点での就労・離職意向を中心とする内容で実施した。このことによって、平成27年度の第2次調査を用いる縦断分析のベースラインデータを確保することができた。 本研究の意義としては、就業・離職行動という行動実績に関連している要因の探究を行うという点、離職行動と離職意向とのいずれが離職に関連する要因を探る上で有用性があるかを探ることができる点、第2次調査と合わせて離職意向と離職行動の関係性を縦断分析によって探ることができる点、などを挙げることができる。加えて、アンケート調査では把握が難しい個々の就業・離職行動及び関連する状況の把握を主としたヒアリング調査を行い、量的・質的両データを用いたトライアンギュレーションによる分析を進めていくための基礎データ収集を行うことができたのは、平成26年度の研究は重要性が高いものとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の達成度を1、先行研究レビュー、2、アンケート調査の実施、3、ヒアリング調査の実施、に分けて示す。 1、先行研究レビューについては、高齢者施設における介護職員の離職に関する研究を概観するとともに、介護労働安定センターによる介護労働実態調査などの結果を踏まえながら、本研究での調査票項目の作成を取り組んでいくことができた。 2、アンケート調査は、調査実施に向けた取り組み段階で、研究協力を依頼したA専門学校及び同同窓会、倫理審査委員会、調査票配布・回収・入力などの手順を慎重に進めた結果、研究計画時より2か月程度遅くの実施となったが、基礎的な集計段階はほぼ計画通りに進めていくことができた。 3、ヒアリング調査については、アンケート調査結果を踏まえた項目の検討、調査実施対象人数の設定などを慎重に行っていったため、研究計画時より1か月遅れたものの、平成26年度中に実施することができた。 上記のように、研究1年目の平成26年度に計画していたことは概ね取り組むことができている。アンケート調査結果の詳細な分析や、ヒアリング調査の分析、調査内容を公表するためのまとめなどについては、取り組んできているものの、整理し印刷製本するまでには至っていないが、研究全体としては、順調に進めていくことができていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、平成27年度秋に第2次調査を実施する予定である。 第2次調査の実施については、研究計画段階では、第1次調査を踏まえた調査票作成を想定していたが、調査回収率が21.4%であったことなどから、第1次調査回答者と未回答者とで異なる調査票を用いて、より研究成果が出せるように修正対応をしていきたいと考えている。また、第2次調査の回収率向上のための方策として、第1次調査結果の公表について、A専門学校及び同窓会等での研究発表の検討など、本研究への関心を高める工夫に努める。 研究成果の発表については、関連学会での研究発表を行うとともに、学会誌への論文投稿を行い、他の研究者等からの助言を頂ける機会を積極的に作ると同時に、介護現場に携わる専門職者らとの交流の機会の確保、専門的な知識の提供を受けながら調査結果の確からしさを常に確認していける仕組み作りを前年度以上に意識して研究を進めていく。 そのためにも、研究協力者2名に協力してもらう作業の明確化を行うとともに、密に連携を図っていくための打ち合わせを継続的に行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画時には、平成26年度中にヒアリング調査のテープ起こし及び調査結果報告のためのリーフレット作成印刷費を計上していたが、ヒアリング調査が計画時より遅くなってしまった。 平成26年度に実施した第1次調査における郵送費用のうち、予想より回収率が低かったことによって費用が少かった。そのため、ヒアリング調査関連費用及び印刷関係費用等を次年度使用とさせて頂いた。 第1次調査の回収率を踏まえて、平成27年度の第2次調査では、回収率向上のための協力依頼ハガキの郵送、第1次調査回答者と未回答者とで異なる調査票を作成する印刷費用の追加などに使用し、研究成果を挙げるよう努める。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用として、ヒアリング調査関連費用、100,000円、テープ起こし費用として80,000円、リーフレット印刷関連費100,000円、第2次調査票作成費用40,000円、調査協力依頼ハガキ郵送関連費用94,000円を計画している。
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