研究成果の概要は以下の通りである。規制された現金給付の問題点としては、第1に選択とコントロールが可能な段階で制度利用につながらない場合が多く、現金給付の利点を活かすことが難しい場合が多いこと、第2に選択を可能にする場合には、様々な支援が必要だが、地方自治体のソーシャルワーカーによる支援は十分でないこと、第3にケアの個人単位化によって、既存の公的なサービスが削減され、かえって選択肢を狭めていることが明らかになった。また、こうした問題点は、現金給付が緊縮財政と同時進行で行われることでより強化される面があることが明らかになった。日本への適用可能性については、こうした点を考慮することが必要である。
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