戦後70年を経ても被爆者への支援は充分ではない。本研究は原爆小頭症患者(以後、小頭症患者)の在宅における支援体制を検討することを目的としている。療養や生活の実態調査の結果、複合的な障害と高齢化により自力での生活が困難な者が多かった。また、未だに内面には不安や苦悩が存在しており、高齢期の今も心のケアが求められていることが明らかになった。その背景には、これまで被爆者の心のケアの機会がないまま経過してきたことがあげられる。在宅でのひとり暮らしの継続や家族との同居も限界に近づいており、心のケアを含めた日常的な相談体制の整備が必要となっている。
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