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2016 年度 実施状況報告書

緊急一時宿泊事業(シェルター事業)の実態と支援に関する総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 26380807
研究機関佛教大学

研究代表者

加美 嘉史  佛教大学, 社会福祉学部, 准教授 (20340474)

研究分担者 中野 加奈子  大谷大学, 文学部, 講師 (30726047)
小池 隆生  専修大学, 経済学部, 准教授 (40404826) [辞退]
鈴木 忠義  長野大学, 社会福祉学部, 准教授 (60440195)
志賀 信夫  大谷大学, 文学部, 助教 (70772185)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード貧困化 / シェルター / ホームレス / 一時生活支援事業 / 生活保護 / 生活困窮者 / 住居喪失 / 自立支援
研究実績の概要

今年度はシェルター(一時生活支援事業)等の利用者を対象にインタビューを実施した。シェルターなど緊急一時保護施設には様々な住居喪失者が利用しているが、支援に関する当事者の意見や退所後の生活実態は十分には把握されていない。そのため支援に関する意見や退所後の生活状況を聞き取ることを目的に調査を実施した。調査からは家庭崩壊と経済的困窮を子ども時代に経験していた者が多いこと、男性の場合は卒業後、派遣労働など非正規雇用で各地を転々とし、就労と失業を繰り返す過程で住居喪失に陥ったことが語られていた。他方、女性は家族からの暴力、夫との離婚・DVなどを主な住居喪失要因にあげていた。障害のある利用者の場合は家族関係の悪化、家族・知人の経済的搾取、職場内いじめ、金銭トラブルなどが住居喪失の要因としてあげられていた。
シェルターなどでの支援に関する意見では同室利用者とのトラブルなどが語られていた。精神疾患等を抱えた入所者も多く、精神的・肉体的にも不安定な状態なかで相部屋生活に伴うストレスは高いと見られる。また、福祉事務所のケースワーカーや施設スタッフの対応についてはケースワーカー等の言動に傷ついた経験も語られていた。退所後の生活に関しては、困り事を相談できる者は支援施設の相談員らに限定されている場合が多く、福祉事務所のワーカーとの関係は希薄な点で共通していた。
また今年度は生活困窮者の一時生活支援事業及び地域定着支援として特色ある取組みを行っている施設の訪問調査を実施した。特に、地域の様々な団体や行政機関と連携し広域で一時生活支援を実施している施設、女性の緊急一時保護としてきめ細かな支援を行っている施設、施設退所者の地域定着支援において独自の成果指標を作成し、就労準備及び通所事業に取り組んでいる各地の施設を訪問し、聞き取りを行った。なお、これら調査の詳細な分析とまとめは平成29年度に実施する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究の主な目的はシェルター(一時生活支援事業)等の利用者の住居喪失に至る貧困化の過程、シェルターの役割と課題、シェルター退所後の生活状況と支援のあり方などを明らかにすることにある。そのため平成28年度についてもシェルターの退所者へのインタビュー調査に取り組むこととなったが、退所後、連絡や支援関係が途絶えてしまった者も多く、インタビュー対象者の選定に想定以上の時間を要すこととなった。2017年3月末までに元利用者10名のインタビューを終えることはできたが、その実施時期が遅れた影響により、インタビュー調査の分析については平成29年度に実施することとなった。

今後の研究の推進方策

平成29年度は本研究プロジェクトの最終年度として、1.シェルター等施設退所者のインタビュー調査についての分析、2.一時生活支援事業の現状と課題に関する分析、3.韓国のホームレスシェルターの現地訪問調査をもとに日韓のホームレス対策の比較研究を行い、これまでの研究成果のまとめを行う。あわせて研究成果を社会的に発信するための公開シンポジウムの開催(2018年3月初旬に実施予定)、研究メンバーを中心に『研究成果報告書』を作成することで、本研究に関する研究成果の総括を行う計画である。

次年度使用額が生じた理由

平成28年度の研究計画に基づいてシェルター(一時生活支援事業)等の退所者へのインタビュー調査に取り組んだが、施設退所後に連絡が途絶えたり、連絡が取れなくなった者が多く、調査対象者の選定からインタビュー調査への協力・同意を得るまでに想定以上の時間を要した。その結果、インタビュー調査の実施が年度末の2~3月にずれ込んだことで、インタビューの文字起こし(テープ起こし)等のための費用の執行が平成29年度にずれ込んだことで、それらの費用について未使用金が生じることとなった。

次年度使用額の使用計画

平成28年度のインタビュー調査については、同年度末までに終了した。その後の文字起こし等の作業に関しても平成29年4月末に終了している。その結果、平成28年度の未使用金の主な原因となったインタビューの文字起こし等に関する費用についても平成29年5月に執行した。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 生活困窮者に対する就労支援-ソーシャルワークの課題と可能性-2017

    • 著者名/発表者名
      加美 嘉史
    • 雑誌名

      相川書房『ソーシャルワーク研究』

      巻: Vol.42 No.4 ページ: 14-24

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 京都市における「ホームレス」対策の始動と展開-1990年代~2000年代を中心に-2017

    • 著者名/発表者名
      加美 嘉史
    • 雑誌名

      佛教大学総合研究所『共同研究成果報告論文集』

      巻: 第5号 ページ: 19- 38

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 一時生活支援事業の課題ー生活困窮者自立支援法と生活保護の間でー2017

    • 著者名/発表者名
      中野加奈子
    • 雑誌名

      佛教大学総合研究所『共同研究成果報告論文集』

      巻: 第5号 ページ: 39-53

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 格差、不平等、貧困―概念的区別と社会政策―2017

    • 著者名/発表者名
      志賀信夫
    • 雑誌名

      大谷大学大谷学会『大谷学報』

      巻: 第96巻第1号 ページ: 57-77

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 住民参加による地域福祉の可能性―宮崎県日向市における事例分析2017

    • 著者名/発表者名
      志賀信夫
    • 雑誌名

      『関西都市学研究』

      巻: 創刊号 ページ: 3-8

  • [雑誌論文] 相対的貧困率からみる日本の貧困2017

    • 著者名/発表者名
      志賀信夫
    • 雑誌名

      『季刊公的扶助研究』

      巻: 第244号 ページ: 3-6

  • [雑誌論文] 『投資』から『子どもの幸福』アプローチへ―子どもの貧困問題に取り組む―2017

    • 著者名/発表者名
      志賀信夫
    • 雑誌名

      『教育』

      巻: No.853 ページ: 90-93

  • [雑誌論文] 社会保障とニーズのウェイト付け―貧困理論の視点から―2016

    • 著者名/発表者名
      志賀信夫
    • 雑誌名

      大谷大学哲学会『哲学論集』

      巻: 第63号 ページ: 40-51

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 学生たちの目から見た『子どもの貧困』-無料学習支援の活動を通して考える-2016

    • 著者名/発表者名
      鈴木忠義
    • 雑誌名

      長野の子ども白書編集委員会編『2016長野の子ども白書』

      巻: 2016年度版 ページ: 70-71

  • [学会発表] 生活保護における障害加算の変遷と課題2016

    • 著者名/発表者名
      中野加奈子
    • 学会等名
      貧困研究会第9回研究大会
    • 発表場所
      チェンバおおまち(福島県福島市)
    • 年月日
      2016-12-04

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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