知的障がい者の早期離職に影響を与える要因について,就労支援機関の修了生382名に対してアンケート調査を行った結果,「療育手帳の等級」,「家族同居等の有無」,「仕事上の相談者の有無」,「製造業であるか否か」,「収入」,「一週間の就業日数」の6項目が職場定着に影響を及ぼす要因として,また,早期離職要因として「人間関係」「他に就きたい仕事がみつかった」「収入の多寡」「就職後の支援が多い人」が析出された. 続いて就労支援機関の支援者及び企業の事業主・障がい者雇用担当者等10名に対しアンケート結果(6項目)に対する意見と職場定着の促進(離職予防)に向けた取り組み・工夫等を明らかにするため半構造化面接を用いたインタビューを実施した.職場定着の促進(離職予防)に向けた取り組み・工夫等について,支援者からは職場訪問等のモニタリングや職場環境調整,本人・家族・職場との連携と情報共有,生活面のフォローアップ,SOSを発信できる本人の育成等が挙げられたが,事業者からは,本人に対する声かけの励行や支援機関との連携・情報共有,同好会・クラブ活動等への勧誘や定期的な話し合い等が挙げられた.さらに,離職につながるであろう課題については,本人の生活基盤の弱さ,企業内の人事担当者と現場従業員の温度差,入職後の職場環境の変化及び仕事内容の変化,企業からの期待感に対する本人のストレス,他の仕事に対する憧れ等が析出された.
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