平成26,27年度の研究において、中高年生活困窮の原因には、病気、失業が大きく関わっていること、さらに、失業の原因としては、疾病、倒産、雇い止め、介護などが関連していることが認められた。中小企業の福利厚生の課題、中高年での再雇用の難しさなどもヒアリングから明らかとなった。平成28年度は、情報を付け加えたデータを再度分析し、①中高年生活困窮者の特性、②就労環境と疾病の関連、③生活保護受給状況などについて明らかにし、④支援施策改善のポイントを知ることを目的に研究を行った。 研究成果の概要は以下の通りである。①中高年生活困窮者の特性:生活困窮原因は6割余りが失業であった。困窮者の性別内訳は3対2で男性が多いものの、女性が4割を占めた。女性では、半数弱が配偶者との離死別者であった。②就労環境と疾病の関連:男性では年齢があがるほど、非正規就労の割合が高く、女性では年齢があがるほど、就労困難者割合が高くなった。就労困難者のうち精神を患っているものが4割を占めていた。③生活保護受給状況:精神を患う失業状態のものは、多岐にわたる支援を必要としており、生活保護につながる割合が高かった。生活保護受給者であっても、精神疾患患者は生活困窮状態に陥る割合が高かった。 これらを踏まえ、④支援施策改善のポイントとしては予防に力点を置く必要があると判断された。具体的には以下の4点である。1)勤労者への啓発・相談体制の充実 2)相談支援の効率と的確さの向上 3)保健・医療との連携 4)生活保護受給者のフォロー体制の充実 今回の研究成果と生活困窮予防のポイントについては、生活困窮支援に携わる福祉、保健関係の職員に対して、研究報告および研修の機会を研究期間内に2回設け、成果の活用を行った。
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