本年度はフィンランドの特別支援教育(Special Need Education SNE)の免許取得課程の補足調査のためにユヴァスキラ大学の研究者と意見交換および幼稚園におけるインクルーシブ保育の実態調査した。幼稚園2か所、特別支援学校を3か所調査し、教室での活動を調査した。さらに、学校・幼稚園を支援するリハビリテーションセンターの役割を調査した。 フィンランドはインクルーシブ教育が進展し、特別支援学校はこの30年間で約350校から約100校に減少し、発達障害児は支援を受けながら普通児と共に学ぶ教育政策が進展している。研究者の調査では、義務教育児の約20数%が週2~3回の特別支援教員から教育を受けていることが明らかになった。フィンランドのSNEの特徴は、幼少期からネオボラの制度が機能して早期発見早期対応の教育が行われている。SNEの教員は個別教育計画(IEP)に基づき、専門的な知識技能によって、発達障害児を教育し、とくに教員のペダゴジーを重視している。SNEの教員は修士課程の2年間に120単位を修了し、そのうち特別支援関連の科目を60単位を取得し、その内容も確認できた。極めてレベルの高いSNE教員養成が行われている。SENの教員は全教員の約15%がその資格取得している。 これまでの調査結果を報告するために2018年3月31日に兵庫県明石市の生涯学習センターで科研費報告会を開催した。演題は「フィンランドの就学前特別支援教育・保育と保育者養成」田中愽一、「兵庫大学特別支援保育士養成の試み」杣山貴要江であった。今年度の論文は田中愽一「介護人材施策と介護の高度専門職教育」兵庫大学 『兵庫大学論集No.23』 2018 は、特別支援保育には介護の側面があり、その高度化のモデルを通して特別支援の養成課程の構築を行った。テーマ別でPBLによる養成が課題であると示した。今後、2018年度中にこれまでの成果を印刷物にして公開する予定である。
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