【目的】スティグマティゼーション是正プログラムの効果測定を行った結果、介入による統計的に有意な上昇はみられなかった。本研究は介入の追試研究を行う。【方法】福祉従事者を対象に「知識・情報」「対処方法」「サポート」の3つで構成した2日間の介入を行い、共感性を図るJefferson Scale of Physician Empathy (JSE)の日本語版及び知的障害をもつ人に対する肯定的態度尺度を用い前後比較をした。分析はStata13を用いた。【結果】対象者は38名で、男性9名、女性29名、平均年齢43.0±10.5歳、平均経験年数は87.4±82.7か月、正規職員が22名(57.9%)、非正規職員が12名(31.6%)で、47.4%が日中活動・就労系に従事していた。過去の研修未経験者は、知的障害で65.8%、発達障害でも68.4%いた。JSEの平均得点は介入前105.9±2.4(N=35)で、肯定的態度では55.8±1.4(N=35)だった。肯定的態度では、統合教育の経験有が無より有意に高い得点だった。JSEは介入前109.8±3.8、介入後112.7±4.7(N=15)、肯定的態度は介入前58.2±2.1、介入後59.4±1.9(N=16)で、対応のあるt検定を行ったが統計的な差は得られなかった。【考察】追試研究の結果、前回同様共感性及び肯定的態度の平均値は上昇したが、統計的に有意な差は得られなかった。しかし、介入3か月後も共感性と肯定的態度ともに低下がみられなかった。横断研究において、共感的態度に研修経験は影響しておらず、肯定的態度に統合教育の経験が影響していた。研修は共感性や肯定的態度の維持、継続に役立つが、福祉職に従事する前段階、学校教育において形成され、長期的に影響する可能性が示唆された。今後は今回実施したプログラムを学校教育等で活用していくことを検討していく。
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