研究課題/領域番号 |
26380819
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
矢原 隆行 広島国際大学, 医療福祉学部, 教授 (60333267)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 多職種間連携 / 多機関間連携 / リフレクティング・プロセス / リフレクティング・チーム / 臨床社会学 / アクションリサーチ / ケア / ダイアローグ |
研究実績の概要 |
本研究は、多様な福祉実践の場における新たな参加・協働の技法として「リフレクティング・プロセス」の効果の詳細を明らかにするとともに、その適用領域と場面に応じた教育・実践・評価プログラムの体系化をおこなうことを目的とする。今年度は、協働的アクションリサーチを通したリフレクティング・プロセスの有効性の検証に向け、以下のような取り組みをおこなった。 1. 精神保健福祉専門職による研究会をベースとした利用者と職員のリフレクティング・トークの実施とその内容分析(広島県):精神保健福祉領域におけるリフレクティング・プロセスの活用を試みる研究・実践のプロジェクトとして2008年に広島県にて始動したRPP研究会をベースに、利用者が減少傾向にある精神障害者向けB型作業所においてリフレクティング形式の対話のワークを実施。さらに、その効果について質的分析をおこなう際にも、リフレクティング・トークを活用した。 2. 社会福祉法人をフィールドとした医療・福祉の専門職間連携、組織間連携の実態調査とその分析結果に基づくリフレクティング・プロセスの導入(山口県):病院、高齢者福祉施設、障害者福祉施設等を有する当該地域の医療・福祉の拠点となる組織において、多職種間連携、多組織間連携を推進するため、協働的アクションリサーチを実施した。具体的には、全職員を対象とした連携の実態調査をおこなうとともに、その結果について職員にフィードバックし、共同での分析をおこなった。また、その分析結果にもとづく連携のためのリフレクティング・トークの導入を計画している。 3. 国外の先進地域におけるリフレクティング・プロセス実践状況の整理と紹介:デンマーク、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー等のリフレクティングの先進地域の実践状況を情報収集し、各分野における具体的取り組みとその方法について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
協働的アクションリサーチに関しては、山口県の社会福祉法人、広島県における研究会と社会福祉法人の協力が得られたため、比較的順調に実践研究を進めることができている。特に山口県では、病院、高齢者施設、障害者施設等を含む全職員を対象とした連携実態調査を実施し、その結果分析に基づいたリフレクティング・プロセスの導入が可能となった。ただし、インタビューやリフレクティング・プロセス実践のすべてに研究代表者の参加を要するため、その頻度や日数上の制約も生じざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、今年度実施した協働的アクションリサーチを本格的に進め、多職種間連携・多機関間連携におけるリフレクティング・プロセスの有効性を明確化するとともに、その教育プログラムを構築していく。また、リフレクティング・チーム形式を用いた保健・医療・福祉領域での教育・研修が展開されている北欧の状況について視察し、さらに多様な領域でのリフレクティングの実践可能性を探求する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、協働的アクションリサーチの研究フィールドが山口県と広島県という当初の計画に比較して近隣の地域となったため、旅費が予定よりも少なくなったことがあげられる。また、山口県での協働的アクションリサーチをフィールドとなる社会福祉法人と協力して進める体制を構築できたため、調査実施の費用を減らすことが可能となった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、最終年度として研究成果の広報のための費用を要する。また、蓄積された音声データのテープ起こし等の謝金が一定の比重を占める。さらに、一昨年度の研究交流による国際的ネットワークの広がりから可能となった北欧での追跡調査の旅費が必要となる。
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