研究課題/領域番号 |
26380823
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研究機関 | 札幌国際大学短期大学部 |
研究代表者 |
岡部 祐子 札幌国際大学短期大学部, 幼児教育保育学科, 講師 (80597899)
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研究分担者 |
後藤 ゆり 札幌国際大学, スポーツ人間学部, 准教授 (30553698)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 発達障害児 / 地域参加 / 親の経験知 / 相互作用 / 経験知の継承 |
研究実績の概要 |
初年度は、本研究の目標である、発達障害児を育てた親の経験知の収集と活用の可能性を探る手がかりとして、文献調査、ならびに国内の親による親支援の先駆的事業拠点・機関への現場踏査を行った。「親の経験知」について、実践の視点から検討することにより「親の経験知」には、「ノウハウ的なもの」と「視点のようなもの」があると推測された。特に後者を獲得するプロセスについては、質的な検討が必要であると判断されたため、同年度、発達障害児を育てた保護者へのインフォーマルな調査に着手した。その結果、親が子どもの地域参加のために行った支援は、我が子の生活圏の拡大の促進のみならず地域社会や親自身を変革していくプロセス(相互作用)が含まれることが推察された。本研究は発達障害児・者の地域への包摂を目指すものであることから、発達障害児とその家族の地域参加で生じた「相互作用」を読み解いていくことは、社会の変革への提言にも繋がると考えられる。これらのことから次年度は、発達障害児の地域参加の状況、親の経験知、家族支援の在り方等を概観するための定量的調査の具体化とともに、「経験知」や「地域との相互作用」に関する質的調査を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要にもあるように、初年度前半は、研究デザインを確かなものとするための文献調査を行い、調査方法の検討や現場踏査の対象機関・施設の選定を慎重に進めた。計画が具体的になるにつれて、さらなる文献調査やスーパーバイズを必要とし、多くの時間を費やすこととなった。一方で、当初29年度(研究4年目)に予定していた調査の対象者(看護分野における患者支援プログラムの開発者)が、9月に来日したため、調査を先行して実施できたこと、国内で調査を行えたことは、計画全体の進捗に大きく付与した。後半には、福祉サービスの実践家、療育機関で長く家族を支援してきた支援者等、福祉・特別支援教育関係者へのインフォーマルな調査を重ね、明らかにすべき「親の経験知」について焦点化が進んだ。それにより、定量的な調査だけでなく質的な調査が本研究の中核をなすことが適切であると判断し、必要と考えられる調査の準備に着手した。以上、研究の進展にともなって浮かび上がってきた課題に応じ修正を必要としたが、計画の想定内とし、概ね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、初年度前半に実施した発達障害児の地域参加に関するレビューと後半に行った調査結果をまとめ、発表を目指している。また、発達障害児を育てた親へのフォーカスグループ・インタビューを実施し、初年度調査の結果と併せて整理・分析することで定量的調査の具体化を図る。また、概要に述べた理由によって、発達障害児を育てた親に対する質的調査を開始する予定である。看護領域での支援プログラムの開発者から得られた示唆は、親の経験知を活用するための検討に生かしていく。次年度は、具体的な調査の実施、得られた結果の発表を行うことで、計画の進展が期待できると考えている。
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