研究課題/領域番号 |
26380835
|
研究機関 | 青森県立保健大学 |
研究代表者 |
児玉 寛子 青森県立保健大学, 健康科学部, 准教授 (50424007)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 医療的ケア / 家族介護者 / 専門職との関係性 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、医療依存度の高い要介護者を介護し、死別した経験を持つ家族を対象としたインタビュー調査を実施し、現在、データ分析中である。 対象者は地域包括支援センターと認知症の介護者家族会に紹介を依頼して最終的に7名の家族(介護経験者)から同意を得た。対象者の属性は、夫1名、妻3名、娘3名であり、介護年数は10ヶ月から12年、要介護者との死別後期間は8ヶ月から3年半であった。インタビューは1時間半程度で、医療依存度の高い要介護者の在宅介護引き受けから介護中の様子、専門職との関係、死別後の生活の様子などについて半構造化面接を実施した。 詳細な分析までには至っていないが、全ケースの逐語データを通読すると医療依存度の高い要介護者の支援には多職種が関与している傾向があり、多職種間の連携が円滑であれば家族介護者の介護不安が抑えられる可能性があること、また家族介護者は、医療的ケアの習得や要介護者の容態変化への対処を経験しながら、主体的・能動的なケア実践を行っていたことなどが読み取れた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は平成26年度から3年間の研究課題であり、平成28年度が最終年度であった。しかし、平成27年度より研究代表者の勤務先変更に伴い、新たな研究フィールドの開拓、および研究協力者(事業所)と調査対象者の確保が必要となったことから、当初の研究計画遂行が困難な状況であった。平成27年度後半は、関係機関に研究の趣旨を説明して協力を依頼し、その結果7名の調査協力者を紹介してもらうことが出来た。平成28年度は、協力の得られた調査対象者へのインタビューを実施し、現在、分析作業中である。なお、平成28年度末に補助事業期間延長申請を提出し、申請時の研究計画を遂行するよう努力しているところである。よって現在の進捗状況は「やや遅れている」とした。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、①医療依存度の高い要介護者を介護し、死別した経験を持つ家族へのインタビューデータの分析作業、②医療依存度の高い要介護者を在宅で介護継続中の家族介護者への継続インタビュー(年度内に3回実施予定)、③専門職を対象としたアンケート調査を計画している。 ①のインタビューデータ分析では、家族と専門職との関係性と家族による主体的な介護実践に着目して分析を進める。分析結果は年内に学会発表の予定である。②の継続インタービュー調査に関しては、訪問看護ステーションをとおして対象者3名(夫介護者3名)の紹介を受け、初回調査をすでに終了している。初回調査では、基本属性の確認と現在の介護状況、介護継続意思、および介護者の負担感と生活満足度について聴き取りを行っている。今後は年度内にあと2回のインタビューを実施して、サポート体制や介護者の意識の変化、介護状況の変化、専門職の関与について聴き取る予定である。なお現時点では調査対象者の属性が夫介護者のみであるため、結果に偏りが生じる可能性が高いため再度、調査対象者のリクルートを行う必要がある。対象者を増やし、属性に偏りなくバリエーションを持たせられるよう訪問看護ステーション等に対象者紹介の協力を引き続き依頼していく。③のアンケート調査は、医療依存度の高い要介護者とその家族に対する支援の実態を把握することを目的として年度内に実施予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は、当初アンケート調査実施予定だったが、計画遂行の遅れにより、医療依存度の高い要介護者を介護し、死別した経験のある家族(7名)へのインタビュー調査のみ実施した。そのためアンケート調査に使用する予算を平成29年度に繰り越す必要があった。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、現在、医療依存度の高い要介護者を在宅で介護している家族介護者への継続インタビュー、専門職を対象としたアンケート調査を計画している。予算配分としては継続インタビューでは、毎回の聴き取り結果を逐語データに変換するための反訳作業の費用と謝礼・交通費等を予定している。アンケート調査では、調査票印刷、郵送料を予定している。また学会発表、研究協力者とのミーティングにかかる旅費も支出予定である。
|