研究課題/領域番号 |
26380837
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大渕 憲一 東北大学, 文学研究科, 名誉教授 (70116151)
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研究分担者 |
渥美 恵美 東北福祉大学, 健康科学部, 教授 (20326747)
山本 雄大 八戸学院大学, 健康医療学部, 講師 (60771368)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 謝罪 / 信頼回復 / 倫理違反 / 能力違反 / 日本人 |
研究実績の概要 |
謝罪は損なわれた信頼の回復に有効であるとされてきた。信頼には能力期待と倫理期待の2種類があるが、Kim et al. (2004)はReeder & Brewer (1979)の性質帰属スキーマ・モデルに基づいて、謝罪は能力違反では信頼を回復させるが、倫理違反ではそうではないとする謝罪の逆転効果を予測し、これを実験によって確証した。日本人は国際比較において謝罪選好が強いことが見出されてきたが(大渕, 2010)、日本人が負事象であっても責任受容する違反者を好意的に受容するとすれば、倫理違反においても謝罪による信頼回復効果が期待できる。これを検討するために、男子日本人大学生65名を参加者とする役割演技実験を実施した。イラストを用いて描いた違反エピソードをPC上で参加者に個別に提示したが、これはKim et al.が用いたものと同じ採用面接エピソードで、志願者が前職において不適切な確定申告をしたことについて面接担当者に説明を求められるという場面である。志願者の違反行為が能力違反か倫理違反か、また、謝罪を行うかどうかで4条件を設け、参加者をこれらにランダムに配置し、エピソード終了後、彼らにこの志願者の採用可能性を評定させた(信頼測度)。その結果、参加者は、能力違反の場合には、謝罪した志願者をしなかった志願者よりも採用すべきと評定したのに対して、倫理違反の場合には、逆に、謝罪した志願者に対する採用可能性を低く評定したが、この結果はKim et al.と一致するものであることから、日本人においても倫理違反では謝罪の逆転効果が確認されたといえる。しかし、Kim et al.の理論に基づいて分析した認知メカニズムの検討結果はこれを支持しなかったことから、異なる内的過程を仮定する必要があると思われる。
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