研究課題/領域番号 |
26380839
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
相川 充 筑波大学, 人間系, 教授 (10159254)
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研究分担者 |
蔵永 瞳 就実短期大学, 幼児教育学科, 講師 (30634589)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 感謝感情 / 感謝行動 / 負債感情 / 共感性 / 向社会的行動 |
研究実績の概要 |
調査研究では,他者からの被援助に伴う感謝感情が,援助者ではない第三者に対する向社会的行動を動機づけることが確認できた。この成果は論文としてまとめた。小学生においても,共感性,対人的感謝,向社会的行動の関連を確認することが出来た。この成果は,学会で発表した。 他方,実験研究では,従属変数の測定法に工夫を加えながら4回の実験を繰り返したが,仮説を支持する結果が得られなかった。その大きな理由は,日本人の感謝感情には負債感情が交じることが考えられた。そこで,この仮説を検証する実験を行い,一定程度,仮説を支持する結果をえた。この成果は,学会で発表した。 もう一つの理由は,感謝が生起している状況を〝当然のこと〟と認知するために,感謝感情が高まらないことが考えられた。そこで,〝当然さ評価〟を低減させる実験を試みたが,必ずしも効果は得られなかった。この結果は、論文にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2015年度は,本研究3カ年計画の真ん中の年に該当したため,調査研究,実験研究を精力的に実施する予定であった。ところが,実験研究において,実験を重ねても仮説通りの結果が出なかったため,当初予定していた研究計画よりも遅れ気味となった。 もう1つの理由は,研究チームの体制を維持できない事態が生じたためである。研究分担者は,2015年度初めに新しい職場に異動し,2015年度末には別の職場への異動準備があったために,研究に十分な時間を割くことが出来なかった。また,研究チームの有力なメンバーの一人も,2015年度の途中から,遠隔地の新しい職場に異動したため,共同研究を十分に機能させることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究チームのメンバーは,各異動先で適応できているので,今後は,研究体制を再度,整えて,残された課題の解明のために,実験研究,調査研究を行う。 具体的には,年度初めに,遠隔地のメンバーも研究代表者の研究機関に集合して,研究計画最後の年の研究目的と実施方法を確認し合う。また,学会発表の機会を捉えて,学会発表の会場で対面して,研究の推進状況を確認し合う。さらに,インターネットを使った情報交換をこれまで以上に頻繁に行い研究を推進させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験研究の結果が,当初の仮説を支持しないものとなり,予定通りに実験を遂行することができなかった。そのため,実験にかかる経費を予定よりも使わなかった。 また,研究結果が,当初の仮説を支持しなかったために,予定していた海外での学会発表を取り消したため,旅費などの経費を使わなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は,改善を加えた実験研究を実施するので,そのための経費を必要とする。 また,研究体制を確立できるので,当初の計画に追いつくよう積極的に実験研究と調査研究を実行する。
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