本研究は、文化的産物に着目し、文化において優勢な価値の維持・変容のプロセスについて検討した。連続再生法を用いて文化的産物の維持・変容を調べた実験(実験1)およびその文化化による効果(実験2)は限定的であったものの、文化的な価値と関連している選好に着目し、その動機づけへの影響を日本・ドイツで調べた実験3では、相互協調に価値を置く日本では他者の選好が動機づけを促進させたのに対し、ドイツではそのような傾向が見られなかった。さらにこの文化差には他者からの排除を回避しようという動機づけがかかわっており、このような排除回避の動機づけが文化的に優勢な価値の再生産に関与している可能性が示唆された。
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