研究課題
他者に何をどのように話すかの対人コミュニケーションの様式において、非言語的な側面においても文化的スキーマが存在することを明らかにすることが本研究の目的であった。調査では、主として、日本に滞在し日本人と対話することで、個々の体験を超えた日本人の非言語コミュニケーションの抽象的なスキーマが形成されるてくる外国人留学生を対象とした。彼らは、出身国と日本とでの違いに直面し、出身母国のスキーマについても気づくようになる。このスキーマは暗黙裡に獲得されるものであり、全体構造を意識化して認知することが困難である。そこで自由連想によって暗黙裡の構造を探索することが可能なPAC分析を用いた。各参加者協力者に対して、(1)日本人との非言語対人コミュニケーションでの違和感、(2)日本人の非言語対人コミュニケーションの特徴、(3)母国の非言語対人コミュニケーションの特徴、についての合計3回のPAC分析をした。結果を概括すれば、視線、身ぶり、接近などの非言語行動、準言語に多くの文化的差異が見られた。トルコのように視線交錯は概ね20秒以内に限る特異な例もあるが、非言語コミュニケーションは人間関係づくりとその関係性の深さ、言語コミュニケーションの様式(スキーマ)と密接に関係していた。従来の研究では個別的な行動の差異に焦点化し、見落としていたのであろうが、同一文化内での強い共通性を持つ戦略的な規範の存在を示すものであった。調査対象国の構造的特徴に関する研究成果は、国内の学会大会よりも、ヨーロッパ心理学会大会、アジア社会心理学会大会、アメリカ心理学会、国際異文化心理学会大会、オーストラリア心理学会大会などの海外大会で多く発表した(海外での単独発表8件、本年7月8月に2件を予定)。
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すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
PAC分析研究第1巻第1号, 2-12. (2017年3月)
巻: 1-1 ページ: 2-12