研究実績の概要 |
延長した最終年度として研究成果のまとめを行った。まず、主たる研究成果としてNakamura (2018)を投稿し、採録されるにいたった.この論文では,意図性判断におけるKnobe 効果(Knobe, 2004)で,不確実性に対する認識が重要な役割を果たしていることを複数の異なるシナリオの下で実験的に示すことに成功した.また、研究の理論的基盤となる思考・推論研究の動向を概説書の該当章(中村, 2018)にまとめ,公刊する予定である.加えて,近年注目を集めている人工知能が下す道徳的判断の問題(Bonnefon et al, 2017 in Science)を検討した.先行研究によれば,人は少人数を犠牲にして多数を助けるような判断を下す自動運転車を,理にかなったものではあるが自分が購入して乗りたいとは思わないと考えるとされる.この先行研究に基づいた予備的データを収集し,先行研究と一致する知見を得たと同時に今後の研究につながる示唆も得た.今年度の研究成果は継続して関連するデータを収集し,将来の研究発表・公刊へとつなげる予定である.
具体的な研究成果 Nakamura, K. (2018). Harming is more intentional than helping because it is more probable: The underlying influence of probability on the Knobe effect. Journal of Cognitive Psychology.
中村國則. (2018). 問題解決・推論・意思決定. 箱田裕司(編), 知覚・認知心理学. 遠見書房
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