研究課題/領域番号 |
26380855
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
唐澤 真弓 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (60255940)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 自己関連情報 / 文化的バイアス / 事象関連電位 / 自尊心 |
研究実績の概要 |
これまでの文化心理学において、自己認識の文化的バイアスが検討されてきた。そこではアメリカ人は正の自己関連情報に大きなウエイトをおくため自己高揚的傾向を示し、日本人は負の自己関連情報にウエイトをおくため自己批判的傾向を示すことが報告されてきた。そこで、本研究では、平行して収集されているアメリカのデータと同じ方法で事象関連電位を用いて、自他関連情報評価を比較し、情報の感情価によって、その処理の性質が情報処理の初期から系統的に異なるか、さらにこのバイアスを文化と遺伝子多型の交互作用によって予測できるかを検討することを目的とした。具体的には、ポジティブとネガティブな単語にタイムロックされた事象関連電位を測定し、初期の事象関連電位のコンポーネントには文化差がみられないが、それ以降のコンポーネント、特にN400で顕著な文化差という仮説を検証し、また可塑性遺伝子の一つとして近年注目されているのがDRD4との関連を検討した。 その結果、自己条件、他者条件にかかわらず、日本人は負の情報に対し、N2(重要な刺激への注意の指標)へ注意が向いていたが、他者条件の結果は支持されなかったが、これは、自己他者にかかわらず、失敗状況への自尊感情の変化がより大きくなるというKitayama et al(1997)と一致している。日本人の場合、自己他者にかかわらず、負の情報に対し、より注意が向くとなっていた。しかしながら、この結果はN2であるか否か、その解釈に関して、討論する必要がある。そこで、実験刺激内容を大学生に評価させ、その妥当性を経費内容で実施することとし、現在分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
仮説とは異なり、自己条件、他者条件にかかわらず、日本人は負の情報に対し、N2(重要な刺激への注意の指標)へ注意が向いていたが、他者条件の結果は支持されなかったが、これは、自己他者にかかわらず、失敗状況への自尊感情の変化がより大きくなるというKitayama et al(1997)と一致している。日本人の場合、自己他者にかかわらず、負の情報に対し、より注意が向くとなっていた。しかしながら、この結果はN2であるか否か、その解釈に関して、討論する必要がある。そこで、実験刺激内容を大学生に評価させ、その妥当性を経費内容で実施することとし、現在分析中である。その結果をもって、脳波と遺伝子のデータを追加することとする。
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今後の研究の推進方策 |
現在、データを再分析し、その解釈を固定した上で、遺伝子データの分析をおこない、データを追加し、統合的考察をする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ERP反応の分析を行い、論文のドラフトを書き上げたところ、N400の解釈において、別の可能性があることが指摘された。そこで、自由記述の質問紙を実施して、文章課題の妥当性を検討し、その結果の整合性を確認し、追加データを収集するか、現時点での遺伝子分析を加えた統合的考察とするのか、検討していたため、今年度中に終了する事ができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
遺伝子データの分析を行い、その分析費用(25万円)を支払い、またデータを10人ほど追加し(10万円)(被験者謝金)、これまでのERPデータとの結果をあわせて総合的に考察する(分析補助謝金5万円)。
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