研究課題/領域番号 |
26380858
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研究機関 | 京都光華女子大学 |
研究代表者 |
川西 千弘 京都光華女子大学, 健康科学部, 教授 (70278547)
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研究分担者 |
土居 淳子 京都光華女子大学, キャリア形成学部, 教授 (00301713)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 虐待 / 被害的認知 / IAT |
研究実績の概要 |
1.母親被害意識尺度と被害-加害IATの信頼性と妥当性の確認 「母親の養育意識が幼児のポジティブ行動解釈に及ぼす影響~潜在的測度(IAT)および顕在的測度(母親養育意識尺度)からの検討~」を日本心理学会第78回大会において発表した。これは、ポジティブな母子相互の養育場面を提示し,母親の潜在的(IAT測定)および顕在的(質問紙測定)母親被害意識が,一般的な幼児の行動解釈にいかなる影響を及ぼすのかを検討したものであった。この調査を通じて、母親被害意識尺度(顕在的測度)の内容的妥当性と構成概念妥当性を確認した。また、被害-加害IAT(潜在的測度)は再検査法により信頼性を検証した。 2.ゲームシミュレーション課題(迷路脱出コンピューター・ゲーム)の開発 コンピューター上で調査参加者の指示・誘導により幼児キャラクターが迷路を脱出する仮想ゲームを作成する準備を行った。その際、独立変数として、参加者の誘導に幼児キャラクターが、「従う」・「反抗する~別の道に行く・動かないなど~」を表出できるようにする。誘導過程の6つのターニングポイントにおいて、幼児キャラクターの発言を操作できることとし、さらにそのポイントでの反応(幼児キャラクターを誘導する力のレベル判断~従属変数~)を参加者が選択できるように計画した。PCゲーム開発業者および大学情報処理システム担当者とゲームの詳細や上述した従属変数の測定方法など計画を実行するためのプログラミング精度を高める努力中であり、平成26年度はゲーム完成に至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
大学の校務多忙のため、またゲームシミュレーション課題(迷路脱出コンピューター・ゲーム)において、独立変数および従属変数を具体的にゲーム上に落とし込み、実体化するための詳細な方略について考察するのに時間がかかった。さらに、その計画をPCゲームプログラミング開発業者および情報システム担当者と折衝していく中で、その計画についてゲームシミュレーションとしての妥当性や信頼性を査定をする必要が生じ、プログラミング発注には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
ゲームシミュレーション課題(迷路脱出コンピューター・ゲーム)の開発を早急に進め課題を完成させる。その後、幼児を養育中の母親100人程度を対象に、このゲームシミュレーション課題を用い以下の調査を行う。なお、IATが他の課題の影響を受けやすいため、調査は2日に分けて個別に行い、第1日目はゲームシミュレーション課題、第2日目は母親被害意識尺度と被害-加害IATを実施する。操作する独立変数として、参加者の誘導指示に幼児キャラクターが6つのターニングポイントにおいて「全て従う」「全て反抗する」「3つには従い、残り3つには反抗する」の3条件を設ける。ただし、これら3条件は参加者内要因とし、キャラクターの出現順はカウンターバランスする。従属変数として、ゲーム過程では参加者の①6ターニングポイントの反応レベル、②グリップ強度を測定し、3人の幼児キャラクターとのゲーム終了後、各幼児キャラクターについて③印象、④行動の帰属に回答を求める。これらを通じ、潜在的および顕在的母親の被害的意識の個人差が、情報処理から行動のどのプロセスでどのような歪曲を誘引するのかを明らかにする。 母親被害意識の個人差については、母親養育意識尺度はこれまでの研究成果で確認した下位因子を加味し、より詳細なレベルでの検討を行う。また、被害-加害IATではDスコアを用いるが、研究分担者土居が開発する拡散過程モデルに基づく個人差測定の分析も試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
ゲーム・シミュレーション課題の開発中であり、PCプログラミング開発業者と折衝中で経費を支払うに至っていない。
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次年度使用額の使用計画 |
上記課題の開発に当たり、平成26年度繰り越した金額および平成27年度直接経費を合算し、60~70万円程度を開発費として支払う予定である。また、27年度予定している調査において、調査参加者謝金として30万円程度かかる予定をしている。
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