以下の手順により、準備及び本調査を実施した。 準備1. 被害IATの改良:調査参加者の心理的負担を軽減し、かつ健全性測定を可能にするため、「被害―加害」ではなく「被害‐健康」を属性概念とし、刺激語リストを「愛される」などポジティブと「やられる」などネガティブ単語同数ずつに改良した 準備2. 迷路脱出コンピューター・ゲームの開発:コンピューター上で参加者の誘導により幼児キャラクターが迷路を脱出する仮想ゲームを作成した。これにより、参加者が駄々をこねる子どもへの反応を直接検出する。迷路途中の20ポイント(本調査では8ポイントを使用)において、幼児キャラクターが動かなくなり「泣く」または「怒る」というアクションをおこし、参加者がそのポイント毎に幼児キャラクターを誘導する力のレベルを判断する課題を行う。なお、迷路移動中何れの場所でも、幼児キャラクターに対して「微笑みかける」「しかる」という参加者の意思表明が出来るようになっていた。本調査では、従属変数として、上述した誘導する力のレベル測定に加え、「微笑みかける」「しかる」の各回数およびこの課題終了後、幼児キャラクターアクション回数(記憶自由再生)と幼児キャラクターへの印象も尋ねた。 本調査:2か所の認定こども園で参加希望者を募り、乳幼児を養育中の応募母親105名を対象に、個別に実験目的を説明した上で、① 迷路脱出コンピューター・ゲーム課題⇒②被害‐健康IAT⇒③母子場面想定法⇒④母親養育意識尺度⇒⑤詳細なディプリーフィング⇒⑥謝金(3000円のQUOカード)の領収⇒⑦同意書への署名の順で調査を実施した。なお、親子場面想定法と母親養育意識尺度はセルフ・リポート式質問紙であり、迷路脱出コンピューター・ゲーム課題と被害‐健康IATの順番は参加者間でカウンターバランスし、両者実施間に互いの影響を相殺するため10程度休憩時間を挿入した。
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