研究実績の概要 |
平成26年度は、「青年期の愛着不安と自己愛傾向が不適応な状態や行動を生起させるプロセスに関する研究」への研究助成の初年度に当たるため、まず、研究基盤を固めるための先行研究のレビューを入念に行い、その後、それらを踏まえての調査を、大学生を対象に1度実施した。また、併せて、本助成金対象研究の準備のためにこれまでに行ってきた研究の結果について学会等で発表を行った。 本研究は、青年期の愛着不安ならびに自己愛傾向が、概念的には対置されるものであるにも関わらず、それらがなぜ共に攻撃行動や他者軽視、問題行動や規範違反といった不適応な状態や行動を生起させるのかについてのプロセスを、自己の不安定性と自己への関心の焦点化という観点から自我脅威状況を設定することで明らかにしようとするものである。そのため、まず、第一段階の調査として、①Parental Bonding Instrument(Parker et al., 1979)-幼少期の母親の養育態度を測定、②愛着不安尺度(中尾・加藤, 2004)、③評価過敏性-誇大性自己愛尺度(中山・中谷, 2006)、④被受容感尺度(杉山・坂本, 2006)-日常的に他者から受け入れられているかどうかを測定、⑤親密な他者(親、友人)への自己開示尺度(Miller, Berg, & Archer, 1983)、⑥GHQ12(中川・大坊, 1996)-精神的健康を測定、⑦敵意的攻撃インベントリー(秦, 1990)ならびに回答者の性別、年齢を尋ねる項目からなる質問紙を用いて、7月から10月にかけて289名の大学生を対象に調査を実施した。この調査に関しては、現在分析中であり、その結果については、今後、学会等で発表する予定である。また、この調査結果を踏まえ、本年度、リサーチ会社等を通し、社会人を対象としたWeb調査を実施することを予定している。
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