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2015 年度 実施状況報告書

青年期の愛着不安と自己愛傾向が不適応な状態や行動を生起させるプロセスに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 26380859
研究機関追手門学院大学

研究代表者

金政 祐司  追手門学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70388594)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード青年・成人期のアタッチメント / 愛着不安 / 自己愛 / 被受容感 / 被拒絶感 / 攻撃性 / 抑うつ / ストーカー的行為
研究実績の概要

平成27年度は「青年期の不安と自己愛傾向が不適応な状態や行動を生起させるプロセスに関する研究」への研究助成の二年目であることから、前年度での遅れを取り戻すべく、先行研究についての詳細なレビューを行いながら、大学生を対象に一度質問紙調査を、さらに、一般の人を対象としたWeb調査を一度実施した。また、併せて、前年度実施した調査結果について学会等で発表を行った。
本研究は、青年期の愛着不安ならびに自己愛傾向が、概念的には対置されるものであるにも関わらず、それらがなぜ共に攻撃行動や他者軽視、問題行動といった不適応な状態や行動を生起させるのかについてのプロセスを、自己の不安定性や他者からの受容の程度といった自我脅威状況を加味することで明らかにしようとするものである。まず、第一回目の調査は、平成27年6月に学生を対象に実施され、その目的は、愛着不安ならびに自己愛傾向が一般的他者からの受容もしくは特定の親密な関係にある他者からの受容を媒介して個人の適応状態(他者軽視、攻撃性、幸福感、抑うつ傾向)に対して影響を及ぼすことを明らかにするためのものであった。また、二度目の調査は、平成27年10月に社会人を対象としたWeb調査を実施した。その目的は、愛着不安と自己愛傾向が、恋愛や夫婦関係におけるDV、あるいは関係解消後のストーキング的行為にどのような影響を及ぼすかを検討することであった。第一回目の調査については、仮説の一部を支持するように、関係不安は一般的他者からの被受容感や被拒否感を媒介して攻撃性や抑うつに影響を及ぼすこと、また、自己愛については被受容感を媒介して攻撃性や抑うつに影響を及ぼすことが示され、この結果は今後学会等で発表を行う予定である。また、第二回目の調査については、未だ詳細な分析を行えておらず、今後、それを実施していく必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成27年度は二度の調査を実施したことから初年度と比較すると研究はかなり進展した。しかしながら、実施した調査の分析については未だ詳細に行うことができておらず、また、研究結果についての文字化も遅れているため、依然、研究の進捗状況はやや遅れていると言わざるを得ない。その主な理由は、本申請研究の研究助成の初年度から継続して、本務校で二つの役職(副学部長ならびに学科長)を担っており、さらに、学部のカリキュラム改革のための仕事も担当しているゆえ、本助成金対象研究を行うための時間を十分に捻出できていないことにある。それゆえ、現時点では、残念ながら当初の研究計画からはやや遅れていることになる。今後は、遅れを取り戻すためにも、研究時間の捻出を行っていくとともに、分析や研究の資料整理等についてはアルバイトを積極的に雇うことで研究の進捗状況の改善を図るつもりである。

今後の研究の推進方策

本年度は、平成27年度に行った二度の調査結果を踏まえ、それらの堅固性を検討すると共に新たな研究を実施していく必要性がある。まず、平成27年度に行った第一回目の調査に関しては、ある程度分析を終えており、関係不安は一般的他者からの被受容感や被拒否感を媒介して攻撃性や抑うつに影響を及ぼし、また、自己愛については被受容感を媒介して攻撃性や抑うつに影響を及ぼすという仮説の一部を支持する結果が得られている。それゆえ、本年度は、それらの結果を踏まえ、夫婦のペア調査をWeb調査にて実施する予定としている。この夫婦のペア調査研究では、関係不安や自己愛が、一般的他者からの被受容感や被拒否感のみならず、特定の関係(夫婦関係)における被受容感や被拒否感に関しても、それらを媒介して配偶者に対する攻撃的行動や個人の抑うつといった適応状態に影響を及ぼすのか、その蓋然性について検討を行っていく。
また、平成27年度の第二回目の調査は、愛着不安と自己愛傾向が、恋愛や夫婦関係におけるDV、あるいは関係解消後のストーカー的行為にどのような影響を及ぼすかを検討することを目的として実施した。今後は、その調査についてもう少し詳細な分析を行うと共に、関係不安や自己愛が相手からの拒絶を引き金としてストーカー的行為という攻撃的行動を喚起するのかについてさらなる検証を重ねたい。

次年度使用額が生じた理由

平成27年度は、実施した調査についての詳細な分析を行うと共に、それらの研究結果の文字化を行い、学会発表や投稿論文の作成を行う予定であった。しかしながら、学内の職務に追われ、それを予定通りに遂行できていない状態にある。そのため、旅費や図書費、また、謝金等に関して、支出額が当初の予定よりも少なくなってしまっている。

次年度使用額の使用計画

本年度は、これまでの研究計画の遅延を取り戻す上でも、分析や研究の資料整理等についてはアルバイトを積極的に雇うことで研究の進捗状況の改善を図る予定である。また、実施した調査については今後詳細な分析を行い、得られた研究結果を国内外の学会や研究会等で発表していくため、国内外の学会や研究会等への参加費ならびにそのための旅費が必要となる。また、本年度実施を予定している夫婦のペア調査(Web調査)は、リサーチ会社等を利用するため、相応の人件費や謝金等が必要となる。それらについて計画通りに進めば、次年度は、当初の予定通りの支出が行えるものと考えられる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 関係不安と誇大性自己愛が攻撃性に及ぼす影響 ―周囲の他者からの受容度を媒介要因として―2015

    • 著者名/発表者名
      金政祐司
    • 学会等名
      日本社会心理学会第56回大会
    • 発表場所
      東京女子大学
    • 年月日
      2015-10-31 – 2015-11-01
  • [学会発表] 母親の養育態度と青年期の愛着機能が探索行動ならびに適応性に及ぼす影響(2)2015

    • 著者名/発表者名
      金政祐司
    • 学会等名
      日本グループ・ダイナミックス学会第62回大会
    • 発表場所
      奈良大学
    • 年月日
      2015-10-10 – 2015-10-11
  • [学会発表] The effects of perceptions of parenting and attachment-function on exploration and adjustment.2015

    • 著者名/発表者名
      Kanemasa Yuji
    • 学会等名
      11th Biennial Conference of Asian Association of Social Psychology
    • 発表場所
      Cebu City, Philippines
    • 年月日
      2015-08-19 – 2015-08-22

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公開日: 2017-01-06  

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