| 研究課題/領域番号 |
26380861
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| 研究機関 | 関西大学 |
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研究代表者 |
元吉 忠寛 関西大学, 社会安全学部, 准教授 (70362217)
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| 研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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| キーワード | 防災 / 説得 / 制御焦点 / 自己効力感 |
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| 研究実績の概要 |
本研究の目的は、災害に備えて適切な防災行動を促進するための規定因、すなわち、どのような心理的要因が重要なのかについて、特に災害に対するポジティブな認識や感情の役割に焦点を当てて解明することである。本年度の主な成果は下記の通りである。
1.緊急時の避難行動を促進するための説得メッセージに関するシナリオ実験を行った。実験では、リスク認知の高低と、避難メッセージの種類を操作した二要因の実験を行った。その結果、リスク認知の主効果と、避難メッセージの主効果が確認された。単に避難情報を提示するよりも、「お子様のいらっしゃる方は、速やかに避難を開始してください」や「速やかに避難することで、お子様の命を守ることができます」といった子どもに焦点化したメッセージを付加した場合に、避難行動意図が高まることが確認された。当初の仮説では、「命を守ることができます」という条件において、もっと避難行動意図か高まると考えていたが、結果はそうではなかった。このような結果になった原因については、今後検討する必要がある。
2.昨年度実施したWEB調査の結果について、ヨーロッパリスク分析学会で学会発表を行った。防災行動の実施状況、また行動意図の規定因が東京と大阪の住民では異なることを、東日本大震災の経験の違いによるものであると示唆されたた。東京のように地震動を直接経験した場合には、行動変容も起きやすく、行動意図と行動との関連が高くなるのに対して、大阪のように直接ではなく、メディアを通して間接的に東日本大震災を経験した場合には、行動変容は起きにくく、行動意図と行動の関連が高くはないのではないかと考察した。
3.災害自己効力感および制御焦点の個人差が防災行動に及ぼす影響について、これまで実施してきた一連の調査結果をまとめて研究会で発表をした。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、説得メッセージを用いた実験的検討を行った。当初の仮説とは異なる結果が得られており、この点については、今後の検討課題として研究を進める予定である。災害自己効力感および制御焦点が防災行動に及ぼす影響については、研究会での発表を経てこれまでの調査全体をまとめることができた。これまで調査や実験はいくつか行ってきたが、研究論文としてまとめる作業がやや遅れているため、今後は論文としてまとめることに力を注ぎたい。研究全体としては、おおむね順調に進展していると考えている。
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| 今後の研究の推進方策 |
次年度は、説得メッセージに関するシナリオ実験の追試を実施する。要因としては、リスク認知、メッセージに加えて、感情の要因を組み込んだ実験を計画している。また、これまでに行ってきた研究成果の研究論文としてまとめる予定である。これらの研究によって、新しい防災行動モデルを提案することを目標としている。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
WEB調査費が予定よりも安かったため残額が生じた。
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| 次年度使用額の使用計画 |
WEBシナリオ実験の追試を実施するための費用が必要となる。また、国内外の成果発表のための参加費や旅費、論文校閲や投稿料などが必要となる。
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