研究課題/領域番号 |
26380864
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
島田 貴仁 科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 室長 (20356215)
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研究分担者 |
雨宮 護 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60601383)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 割れ窓理論 / 秩序違反の認知 / システマティックな社会観察 / 空き家 / Broken Windows Theory / Perceived Incivility / Social Observation / Vacant house |
研究実績の概要 |
研究3年目である平成28年度は,首都圏の1市90地区の成人男女を対象に実施した社会調査(n=1630)の分析を進めるとともに,システマティックな社会観察,SSO)による路上の秩序違反の観察調査を行った。 社会調査では,質問紙による11項目の尺度と,A3版地図による地図指摘法の2つの方法により,回答者の居住地区における秩序違反の認識を測定した。秩序違反尺度に因子分析をかけた結果,「環境の荒れ」「住民のマナー違反」「通行人のマナー違反」の3因子を得た。3因子すべてで因子得点には有意な地区差が認められ,同一市内でも秩序違反行為の出現に地区差があることが示された。 地図指摘法での回答は,GISソフトArcGISを用いて,指摘の種類(「ごみ・美観」「落書き」「空き地や空き家」)や指摘内容を属性とするポリゴン(多角形)データとした(n=2598)。そして,指摘種類別に空間分布を検討した。 観察調査は,社会調査実施地区の中から,住民の秩序違反の認識に差がある2地区で実施した。先行研究(羽生,2011)で提案された街区と住戸の評価尺度を合議により改定し,近年問題になっている空き家・空き地に関係する項目を追加した。評定者2名が街区を歩行して,23街区・217住戸を観察した。 無作法性・秩序違反に関して,街区単位では9項目中2項目,住戸単位では5項目中3項目に有意傾向以上の差異が認められた。非有意の項目も含め,無作法性・秩序違反の地区間の大小関係は社会調査結果と斉一的であることから観察項目は妥当だと考えられる。今後,評価項目を精選した上で,主観評価と客観評価の相違や,各種アウトカムとの関連を分析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
住民調査に連動して,システマティックな社会観察(SSO)に基づく調査を実施し,空間データを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
現時点までの研究を総括し,犯罪や秩序違反の促進要因に対する介入方策を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
秩序違反を指標としたフィールドでの介入実験について,計画していたデザインに類似した実験がH28年度に首都圏の駅前で実施されることが判明した。フィールドでの介入実験は,実験デザイン以外の実施状況に結果が大きく左右されるため,当該研究者に連絡を取り,実験を視察することとしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
視察結果を踏まえて,サンプルサイズや観察期間を再設計する。その上で介入実験または観察調査を行う。
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