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2018 年度 実績報告書

割れ窓理論再考:秩序違反行為に影響するメソレベル環境要因の特定と実証的介入

研究課題

研究課題/領域番号 26380864
研究機関科学警察研究所

研究代表者

島田 貴仁  科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 室長 (20356215)

研究分担者 雨宮 護  筑波大学, システム情報系, 准教授 (60601383)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2019-03-31
キーワード割れ窓理論 / 規範 / 犯罪予防 / フィールド実験 / 介入 / 犯罪不安 / 被害リスク / ナッジ
研究実績の概要

研究5年目である平成30年度は,秩序違反軽減の介入可能性評価と,公共喫煙所での秩序違反行為である,パーティション外での喫煙を抑制するための2回の介入実験を実施した。
秩序違反軽減の介入可能性評価では,一般市民(n=585)を対象に2波の社会調査を行なった。地区の秩序違反と個人の防犯対策への接触が被害リスク認知に与える交互作用が有意であり,パトロール等の防犯対策の実施に先立って,落書き消しや清掃等の秩序違反の痕跡を改善することの重要性が示された。
介入実験1では4喫煙所を介入群2,転移群1,対照群1に割り付けて,介入群では喫煙所のパーティションを拡幅し,うち1喫煙所では約1週間の工事閉鎖期間中の代替喫煙所を掲示案内して,転移群の喫煙所への移動を促した。介入対象の2喫煙所におけるはみだし喫煙は約7割減少し,その変化は対照群に比べて有意だった。また,代替喫煙所の存在は,喫煙所閉鎖期間中の喫煙を削減せず,その理由として,花壇や寄りかかることができる壁面の存在など,喫煙を助ける環境手がかりの存在が示唆された。
介入実験2では,1喫煙所において,禁止メッセージの掲示,喫煙所を示す環境手がかりとしての矢印路面表示の設置の2種類の介入をインターバルをおいて実施した。禁止メッセージの掲示は,喫煙所の適正利用率に有意な変化を及ぼさなかったのに対し,矢印路面表示は,介入前に比べ,喫煙所の適正利用率を約7ポイント引き上げた。
前年度までに実施した,街頭・路上での性犯罪被害の実態調査および危険行動の観察調査,地域の秩序違反についての住民調査および観察調査も含め,本研究では,地域での秩序違反や犯罪の問題では,街路・街区単位の環境手がかりが行為者(犯罪者)と潜在被害者双方に作用しているが,望ましい行動を引き起こす環境手がかりを用いたナッジ介入によって,その問題を軽減できる可能性が示された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 公共空間に設置された喫煙所でのはみだし喫煙防止のための介入実験2019

    • 著者名/発表者名
      島田 貴仁、本山 友衣、藤井 辰典、開口 貴生
    • 雑誌名

      環境心理学研究

      巻: 7 ページ: 25~

    • DOI

      https://doi.org/10.20703/jenvpsy.7.1_25

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 日常活動―ライフスタイルと犯罪予防行動が犯罪被害に与える影響―構造的選択モデルの検証2019

    • 著者名/発表者名
      島田貴仁・大山智也
    • 雑誌名

      犯罪社会学研究

      巻: 44 ページ: 54-72

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 隣の秩序違反,住民の凝集性および近隣防犯活動が住民の被害リスク認知および犯罪不安に与える影響:マルチレベル分析による文脈効果の検討2018

    • 著者名/発表者名
      島田貴仁・大山智也
    • 雑誌名

      犯罪社会学研究

      巻: 43 ページ: 87-103

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 非面識者からの性犯罪発生場所の特性および被害者の空間行動2019

    • 著者名/発表者名
      島田貴仁
    • 学会等名
      日本犯罪心理学会第56回大会
  • [学会発表] 公共空間に設置された喫煙所でのはみだし喫煙防止のための介入実験(2)―公園内の喫煙所におけるナッジ介入-2019

    • 著者名/発表者名
      島田貴仁・本山友衣・大竹文雄
    • 学会等名
      人間・環境学会第26回大会
  • [学会発表] Lifestyle, Crime Prevention Behaviors and Property Crime Victimization: integrating longitudinal survey, census and official crime statistics2018

    • 著者名/発表者名
      Shimada,T.
    • 学会等名
      The American Society of Criminology 74th Annual Meeting
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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