研究課題/領域番号 |
26380867
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
沢田 匡人 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (40383450)
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研究分担者 |
金綱 知征 甲子園大学, 心理学部, 准教授 (50524518)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ネットいじめ / いじめ加担 / シャーデンフロイデ / 悪性妬み / 良性妬み / 潜在的態度 |
研究実績の概要 |
ネット型と従来型のいじめ加担経験の予測因として,いじめ(加害)仲間の人数,シャーデンフロイデを引き起こす悪性妬みを含む特性としての妬み(悪性妬みと良性妬み),いじめに対する選好(いじめIAT)などを考慮した調査を実施した。 前年度に実施した調査からは,悪性妬みがいじめを助長する可能性が示唆された。中学生を対象に,妬みのサブタイプの測定を期した日本語版BeMaSを用いた調査では,自尊感情が悪性妬みを媒介して,従来型いじめの加担を促進していたが,良性妬みにはそのような効果はみられなかったことから,妬みのサブタイプ理論を用いた研究の有効性が示された。しかし,悪性妬みからいじめ加担への影響関係は,いじめ加害に与する友人の多さを指標とした学級の調整を受けていなかった。こうした結果から,悪性妬みが行動化しやすい集団やその背景にある文化的要因を検討する必要性が生じた。 そこで今年度は,約1000名の中学生を対象とした調査の中で,いじめIATの測定に加えて,親和的な動機によるからかいを継続させる状況(からかいの受け手と周囲の反応)の違い,相互協調的自己観等も合わせて測定することで,これらを考慮した分析を試みた。調査の結果,からかいが最も継続される条件は,周囲の者が笑い,からかいの受け手が笑う場合であることが明らかになった。また,相互協調的自己観がからかい行動を媒介して,いじめ強化を促進する傾向にある点も明らかになった。 関連する研究成果には,日本語版BeMaSの作成と良性妬みによるポジティブな効果の検証,日本のいじめを説明するためのモデル提案などがある。文化─感情混合モデルでは,相互協調性に加えて,権力格差や人並み志向などの文化的文脈が,妬みの感情の秘匿などを介して,学校で生じるいじめを見えにくくする過程を想定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定通りに調査を完遂できている。ただし,成果発表に遅れが出ているため,延長申請をした。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果をまとめて,関連学会および学会誌での発表を計画している。また,いじめIATの実用化に向けて,前年度までの調査では実施できなかった小学校高学年を対象としたいじめIATの実施も予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査自体は予定通りに進捗している。しかし、結果をまとめに当初よりも多くの時間を要しており、より慎重な作業が必要となった。また、研究代表者の家族の病気(親族の介護を含む)などの問題も重なり、データの解析や論文化についても、想定以上の時間がかかっている。
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次年度使用額の使用計画 |
これまでの研究成果をまとめて,関連学会および学会誌での発表を計画している。また,いじめIATの実用化に向けて,小学校高学年を対象として,いじめIATを用いた調査も予定している。
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