1.モラル・アイデンティティについての理論的検討 国内外のモラル・アイデンティティについての研究、近年の道徳性心理学に関する研究や関連する研究について情報収集を行い、理論的な検討を行った。その結果、モラル・アイデンティティに関する研究が、日本における道徳教育に貢献できる可能性が見いだされた。モラル・アイデンティティの概念は、国際的に考えられている次世代型教育、日本における次期学習指導要領が目指しているところと共通点があると思われる。展望論文として、学術雑誌に投稿する予定である。 2.モラル・アイデンティティを測定する方法についての開発 先行研究等を参考に、モラル・アイデンティティを測定する方法についての検討を行った。主には、個人的な目標や自己像に関する自由記述に含まれる道徳的価値について分析する方法と、自己評定式の測定尺度による方法とを検討した。自由記述の分析においては、どのような自分になりたいか(個人的な目標)や、自分らしさについて(自己像)について自由記述を求める方法により、モラル・アイデンティティを把握することができる可能性が示された。自己標的式の測定尺度については、オリジナルの質問項目を考案し、質問紙の実施、分析を行った。その結果、信頼性の高い尺度が作成された。測定尺度と自由記述の回答の関連についても検討を行った。一部の変数については縦断的なデータも収集し、分析を行った。結果については、国際学会で発表する予定である。
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