研究課題/領域番号 |
26380874
|
研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
角谷 詩織 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (90345413)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 幼児 / 幼小接続 / 学びの基盤となる力 / 遊び込む |
研究実績の概要 |
(1)幼児の「遊び込む」様子を捉えるための保育観察:2015年4月~2016年2月,2週間に1回(2時間),3~5歳児を対象とし,ビデオ撮影と文字記録による自由遊び時間の観察を行った。 (2)「遊び込む」姿の共通理解のためのカンファレンス:2015年9月,保育者3名と共有した「遊び込み」事例の検討を行い,没頭,試行錯誤,協同を見取ることのできる場面についての共通理解を深めた。 (3)幼児期の「遊び込む」経験の縦断的影響を検討するための小学1,2年生(140名)の担任への質問紙調査:2015年7月, 1,2年生の担任4名に,1学期のクラスの児童一人一人の様子についてのアンケートを依頼した。質問内容は,児童の好奇心・探究心,本質的学習志向,集中力・粘り強さ,教師への依存,言語説明力,学校適応だった。1年生の「本質的学習志向」において,出身幼稚園による差がみられ,調査協力園出身児童の得点が高かった。 (4)「遊び込み」傾向と幼児期に身につける力の関連を検討するための保育者への質問紙調査:2015年12月25日~2016年1月6日,クラスの幼児を想起しての回答を依頼した。質問内容は,遊び込み度,遊び込みエピソードへの登場回数,好奇心探究心,個人的自己抑制,個人的自己促進,主張スキル,自己統制スキル,見通しを持つ力,表現力,粗大運動能力,器用さ,自己効力感だった。いずれの年齢においても「遊びこみ度」と有意な相関のみられたものは,「好奇心探求心」,「やればできるという思いで取り組む」であった。3歳で有意ではなかったが,4・5歳で有意であり,3歳でも相関係数は同様の傾向を示していたものとして,「個人的自己促進」,「事例メイン(登場数)」があった。 (5)成果発表:日本教育心理学会第57回総会(新潟)にて,成果の一部を発表した。また,日本教育大学協会研究年報(第34集)にて,成果の一部を公表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)幼児期に「遊び込む」ことと幼児期に身につく力との関係を,量的にも検討出来た。 (2)幼児期に「遊び込む」ことの長期的影響につながりうる見解を,小学1,2年生のクラス担任へのアンケートを通して得ることができた。 (3)成果の一部を,日本教育心理学会第57回総会,日本教育大学協会研究年報第34集にて公表することが出来た。 (4)2015 APA Annual Convention にて情報収集を行うことができた。 (5)ICP 2016での成果発表に向けて研究をまとめている。
|
今後の研究の推進方策 |
保育観察と記録の分析を継続する。遊び込む姿を,没頭,試行錯誤,協同という視点からだけでなく,つぶやき,視線等,ミクロな観点からその特性をさらに明らかにする。遊びに用いられる素材との対応も検討する。 小学1,2年生の担任へのアンケート(7月),保育者へのアンケート(1月)を実施し,遊び込みの経験と幼児や児童の資質・能力との関連をさらに明確に捉え,幼小接続への視座を提供する。 ICP 2016において,成果発表を行う。また,論文としても成果を公表したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
公表論文の冊子及び抜き刷りが年度末となり,その単価について,3月下旬まで把握できなかった。また,実際の単価が予定単価よりも安く,残高が多いため,次年度での使用について財務課からの依頼があった。
|
次年度使用額の使用計画 |
分析ソフトのアップデートを可能な範囲で行いたいと考えている。
|