研究課題
中国における課外スポーツの実態を把握するため,北京市における中高生のサッカー,陸上,武術,そして地域クラブにおけるバスケットボールの練習風景を観察し,コーチへのインタビューを実施した。インタビューは北京師範大で博士号を取得した日本人通訳を介してなされた。中国のスポーツ教育(指導)は,学校教育との関連でさまざまな試みが始まっており,スポーツエリート育成かゼロかといったかつての状況から一変していた。エリート育成の中核であった体育学校のシェアは減少し,スポーツエリート育成とはいっても文武両道の全寮制の学校もあれあばプロチーム傘下のクラブから地域クラブまで多様な形態が現れ,都市部の子どもにとっては選択肢もそれなりにあるようであった。そして,学校にしてもクラブにしても,日本も含めた海外の先進的な取り組みを貪欲に取り入れようという姿勢も見られた。以上のように,中国におけるスポーツ指導・育成環境はダイナミックに変革しており,それに比して,日本の中学高校における部活動制度の変革のスピードは非常にゆっくりであり,しかもその方向も全国一律でしか動けなさそうに見える。また,デンマークにおいて,放課後スポーツの観察及びインタビューも実施した。対象スポーツは,アイスホッケー,サッカー,バスケットボールであった。地域クラブが主体であり,週に二回か三回の練習で週末のいずれかに試合をするという形式や,ほめを中心とする指導という点でドイツとの共通性が非常に高かった。以上の結果はデンマークのオールボー大学における文化心理学の研究会で討議された。
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