研究課題/領域番号 |
26380877
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
水口 崇 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (60412946)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 模倣 / 処理プロセス / Reaction Time(RT) / 道具 |
研究実績の概要 |
模倣の処理プロセスに関する実験を行った。大学生を対象に、ディスプレイに表示される動作画像をみた後、それを実際に行う課題を行った。最初、台の上にコップが乗った画像が提示され、その後、【コップを手で持っている画像】、【マジックハンドで持っている画像】、【コップの左右に1対のドット(コップの真ん中)が描かれている画像】、【コップの左右に2対のドット(コップの両端)】が描かれている画像のいずれかが提示される。なお、手やマジックハンド、ドットについては、画像処理のソフトウエアを用いて、同質の濃度の彩色が施してある。 画像の提示前から、スイッチボタンの上に手を置いておくよう指示した。手を放して目の前のコップを台の上に置こうとすると、スイッチボタンのリリースによって画像提示から動作の発動までのReaction Time(以下、RT)が測定される。さらに、動作の発動からコップを持って、台の上に置くとスイッチボタンが反応してRTが測定される。なお、スイッチボタンに手を置いている時、提示する動作画像とは独立して、【自らの手のみでスイッチボタンを押している状態】と【マジックハンドを持った状態で押している状態】の2条件を設定した。前者は手でコップを持ち、後者はマジックハンドでコップを持つことが求められた。 提示画像とスイッチボタンを押す状態について、循環法を用いて体系的に組み合わせた。そして、画像提示から模倣動作の発動のRT、模倣動作の発動から台にコップを置くまでのRTの測定を行った。 以上のような実験を通して、視覚情報から動作の実行、模倣の完了までのプロセスを検討した。 また、初年度に行った実験をまとめて、国際誌に投稿した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
既述した実験プログラムと材料は業者に発注した特注品であった。プログラム作成までの話し合い、実際に作って予備的に行うまでに予定以上の時間がかかった。また、より精密で緻密な実験となるように細部を何度も動作確認を行い、慎重かつ着実に実験を行うように取り組んだ。このため、3つの実験を重ねる予定であったが、最初の実験のみ終了となった。
|
今後の研究の推進方策 |
H28年度の前期、アルバイトで学生を雇い、複数の実験室で平行して実験をすすめていく。上記の実験をさらに進める。正確な測定のために、綿密な計画を組み立てなおした。そして、一部プログラムの修正を行うことにした。このことによって、今回はかえってスムーズに実験を進めていくことができる。従って、むしろH28年度前期で実験のスケジュールを取り戻すことが容易になる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初のスケジュールにより実験が遅延したことに伴い、実験補助者のアルバイト雇用、材料費、学会発表などが当初計画で見込んだよりも少額となったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
既に述べたように、本年度の努力によって厳密な実験手法が確立された。H28年度の前半は精力的に実験をすすめ、H28年度請求額と合わせて実験に必要な経費、学会発表の費用として使用する計画である。
|