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2016 年度 実施状況報告書

模倣の処理プロセスとそれを踏まえた外部補助手掛かり

研究課題

研究課題/領域番号 26380877
研究機関信州大学

研究代表者

水口 崇  信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (60412946)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード模倣 / 視覚認知 / Reaction Time
研究実績の概要

模倣は文化学習において重要な役割を果たしている。前世代が考案した文化は、模倣を通して次世代に継承される。継承された文化は、模倣を通して同世代の集団に伝播される。しかしながら現在、模倣の基礎メカニズムは充分解明されていない。その最大の理由として、これまでの研究が、模倣のプロセス全体を研究対象としてこなかったことが考えられる。意図や目標に注意を向ける見解も、目立った特徴に注意を向ける見解も、観察時にどのような要素や部分に注意を向けるか検証する点では同じである。どの見解も、視覚的な入力の要因を最優先の研究対象としており、それ以降の処理プロセスを積極的な研究対象としてこなかった。このため、観察した後の心内の処理プロセス、及び観察学習した内容を再度実演する際の手掛かりとなる要因については未検討であった。
ロンドン大学のセレナ・ヘイズの研究グループは、模倣は観察時の視覚的な入力が決定的な影響を持つと主張している。それを幾つかの実験によって論証し、ASLという理論を考案した。本研究では、視覚的な入力に偏重しているASLの理論の妥当性を検証するため、理論考案の土台となった実験を批判的に検証している。現時点で根拠となった実験に構築した理論に影響を及ぼす不備を発見した。そこで実験の条件を変えながら複数の実験を重ねた。その結果,実験の結果とその解釈に誤りがあることを明らかにした。その上で,選択されるべき理論の提示を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

動作モデルの提示様式を変容した3つの実験を行った。具体的には動作を構成する特定の部位を強調する実験である。入力時のみ強調する課題、入出力に強調する課題、入力時に音声による誘導によって特定部位を強調する課題である。
結果から、入出力時に強調しなければ、特定部位の強調効果は見られないことが明らかになった。ヘイズらの研究論文では、特定部位の視覚的強調の効果が主要な発見とされていた。このため、視覚的協調を模倣課題のいつ、どのような様式で行うことが効果を左右するのか十分に検証されていなかった。本研究の結果を基に、ヘイズらの実験の妥当性を批判した論文を執筆して、国際誌に投稿した。当初予定の最終年度に成果を投稿したため、研究の進捗状況としては、概ね順調である。ただし、英文誌の投稿後の修正要求に対する加筆修正や受理後の掲載費が必要となるため、補助期間を一年延長した。
また、Reaction Timeを指標とした、動作の視覚認知と脳内の運動プログラムの活性に関する実験を行った。こちらも年度内に終了したため、研究計画としてはおおむね順調である。しかしながら、この成果を学会発表し、可能であれば英文誌に投稿する予定にあるため、先ほどと同様に補助期間の延長が必要となった。

今後の研究の推進方策

進捗状況に記した投稿中の論文は、受理された。Web上の公開も行われているが、冊子体の発行が成立した時、頁数などが確定する。そこで、紙媒体の発行が行われた後に、助成に対する研究成果として報告を行う。
投稿を検討中の研究成果は、これから学会発表を行い、投稿論文にするかどうか決定する予定である。

次年度使用額が生じた理由

最終年度に英文誌に投稿した論文は、求められた加筆修正の英文校閲費用、並びに受理された際の掲載費が必要になる。さらに最終年度に実施した実験を学会発表するための旅費、英文誌に投稿可能と判断した際に、英文校閲費と掲載料が必要となるため、一部を次年度に繰り越した。

次年度使用額の使用計画

英文校閲費、掲載費、学会発表に伴う旅費などに使用する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち謝辞記載あり 2件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Imitation learning errors are affected by visual cues in both performance and observation phases2017

    • 著者名/発表者名
      Takashi Mizuguchi, Ryoko Sugimura, Hideaki Shimada, Takehiro Hasegawa
    • 雑誌名

      Perceptual and Motor Skills

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      10.1177/0031512517705533

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 幼児期の動作模倣に及ぼす視覚的記憶容量の影響2016

    • 著者名/発表者名
      杉村僚子・水口崇
    • 雑誌名

      文化学園長野保育専門学校研究紀要

      巻: 8 ページ: 3-9

    • 謝辞記載あり
  • [学会発表] Process of visual input does not decide the accuracy imitation performance2016

    • 著者名/発表者名
      Takashi Mizuguchi
    • 学会等名
      38th Annual Meeting of the Cognitive Science Society
    • 発表場所
      Philadelohia(philadelphia convention center)、USA
    • 年月日
      2016-08-10 – 2016-08-18
    • 国際学会
  • [学会発表] Imitation of gestures in children is not directly influenced by limitations of memory span2016

    • 著者名/発表者名
      Takashi Mizuguchi
    • 学会等名
      The 31st International Congress of Psychology
    • 発表場所
      Yokohama(pacifico yokohama), JAPAN
    • 年月日
      2016-07-24 – 2016-07-29
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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