研究課題/領域番号 |
26380880
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
若松 養亮 滋賀大学, 教育学部, 教授 (50273389)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教職 / 志望意識 / 意思決定 / 適性評価 / 大学生 / 教育実習 |
研究実績の概要 |
研究の第1の柱である学部2年次生に対する量的調査を2015年11月に行った。回答に協力した学生は203名で、うち前年度のデータとのマッチングができたのは183名であった。 本研究の中心的な変数である内的ワーキング・モデルを尺度化した23項目を類型化し「Ⅰ.職場環境不信」、「Ⅱ.感情的傾倒」、「Ⅲ.個人的快とのつながり」、「Ⅳ.成長への期待」、「Ⅴ.対人的信頼」の5つのまとまりが得られた。調査時点の教職志望意識と最も強く関連していたのは「Ⅱ.感情的傾倒」であった。また教職志望意識(4段階評定)が1年次秋と2年次秋で「上昇」「不変」「下降」の3パタンの変化との関連では、「Ⅱ.感情的傾倒」の他に「Ⅴ.対人的信頼」でも見られた。この2つをはじめ5種類の得点はいずれも「下降」群が他の2群と異なっていた。今回の結果をみる限り、内的ワーキングモデルの差は、教職を志望しなくなるかどうかに関わるものであると見ることができる。 第2の柱である学部3年次生に対する面接調査を2016年2月から3月にかけて15名に対して行った。男性7名・女子8名、4年次に教員採用試験を受ける者は12名であった。彼らはこの年度に教育実習を経験しているが、この実習以前には教職に対するイメージが明瞭なものでなく、多くは実習を経て志望する・しないが大きく分化していた。 本研究課題のトピックの1つである内的ワーキング・モデルについては、「教職という職業への信頼」「子どもへの信頼」「自身の能力への信頼」という3つの大きな柱があり、それぞれが志望意識に関わっていると考えられた。そのいずれもが、教育実習を経て、明瞭なものに変化していた。もう1つのトピックの「社会心理学的観点」についても、他の実習生との社会的比較や、子どもからの反応によって教職への適性を評価するなどの事実が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までに予定していた1年次生への量的調査と2年次生への面接調査(2014年度)、および2年次生への量的調査と3年次生への面接調査(2015年度)は予定通り終えることができた。ただし、残り2年というところで、大学生活の半分あまりの推移はおおよそつかむことはできたが、その理論化や、個人差を適切に記述すること、また内的ワーキングモデルという概念の有効性、弁別的妥当性についてはまだ検討の余地は残っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も予定に沿って、2016年度には3年次生への量的調査と4年次生への面接調査を行う。これらの学年、特に3年次生については多くの先行研究があることから、それらでは得られなかった事実を精査し、また2015年度の面接調査や、筆者のこれまでの研究成果も改めて点検したうえで、質問内容を検討したい。 また研究期間も残すところあと2年であることから、理論化や、適切な個人差の捕捉、内的ワーキングモデルや社会心理学的観点の有効性を明確化することに努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画に照らして、使い切れなかった端数が残ったため
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度に、研究課題に照らして適切に使用していく。
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