研究課題
「学びあい」を通じて「自ら学ぶ力」と「他者とともに自ら学びあう力」がいかに形成されるか,実証的に解明することが本研究課題であった。平成26年度は,社会的に共有された調整(socially shared regulation)を測定する尺度の開発を進め,自己効力感,内発的価値,協働学習への動機づけ,自己調整学習方略,自律的動機づけといった心理的要因との関連について明らかにした。平成27年度は,主として介入研究による質的なアプローチによって,さらに「学びあい」における調整プロセスとメカニズムの解明を進めた。これらの知見を受けて,平成28年度においては,より実践的な示唆を得るために,協働学習状況において事前作業の有無によって学習プロセスにどのような違いがみられるかについて検討を行った。教育工学研究では事前作業の有無によって学習の様態が異なってくることが示されており,本研究では,創造性を要する課題を取り上げて,とりわけ社会的に共有された調整のプロセスに焦点をあてて,実証的に明らかにした。主な結果としては,事前作業に取り組むことで生産性が高まり,発話分析からマクロレベルのperformance control機能が鍵を握っていることが示唆された。これらに加えて,最終年度では,大学の授業での「学びあい」の実践を試みた。コースの途中段階において,授業デザインの改善を行い,社会的に共有された調整の視点からその効果について検討を行った。以上をふまえ,今後の実践の方向性について総括を行った。
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Bulletin of Educational Research Association, Kobe University
巻: 23 ページ: 印刷中