研究課題/領域番号 |
26380883
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
戸田 有一 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70243376)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | いじめ / 予防教育 / キヴァ / 実践創案 / 評価 |
研究実績の概要 |
本年度は、(1)すでに行った試行的実践の検討と、(2)フィンランドでのキヴァ・レッスン見学及び日本の実践紹介、聴き取り調査が課題であった。 試行的実践の検討については、学会で発表した実践報告の内容をさらに検討し、月刊誌に原稿を書くなどしてその成果の普及につとめた。その議論の過程で、プログラムをより短縮する必要性や、構成を明確化する必要性が明らかになった。 計画にはなかったが、高校での試行的実践を行った。これは、高校での実践を小中学校にあてはめるという発想からではなく、小中高とも同じ構成でのプログラムを開発するという意図に基づいている。高校での実践を先行させることで、そのプログラム構成と同様の構成ながら、小学生や中学生に適合するプログラムを開発することを促したいと考えた。高校での試行的実践に関しては、1000名近い事前事後回答を得て、入力も終わって分析にとりかかっている。 フィンランドでの見学等については、小学校の実践者が深刻な病気のために学校を離れざるをえなくなり、外国の訪問も延期せざるをえなかった。しかし、学校や企業等からのキヴァ・プログラムに関する問い合わせは相次ぎ、ネット上の予防教育アプリ開発の可能性が模索された。これは本研究計画とは別のプロジェクトであるが、実は、本研究の次段階の研究として構想していたものである。現在、ある企業との協働で、幼児期からの予防教育アプリの開発ができないか検討している。そこでの知見も、小中学校等での実践に応用しうる。 さらには、実践の相互紹介や共有、調査研究の共同を行うためのアジア諸国をつなぐ研究組織の構築に向かっての準備も開始できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中心的な実践者の深刻な病気というやむをえない事情により、フィンランド訪問ができなかった。しかし、そのかわりに、高校での試行的実践の実施によって、小中学校での実践の構成を確かにする見通しができた。さらに、関連する共同研究としてネット上での予防教育アプリ開発が計画中であり、このアプリと連動できるレッスンとして構想できる可能性が浮上してきた。レッスンの補助的意義と効果維持を考えると、このことの意味は大きい。 本研究の目的は、小・中学校でのレッスンの開発であったが、小中高の一貫性と、ネット上での予防教育アプリとの連携で、より普及可能性の高いプログラムの開発が可能になったと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、当初の計画では「新たな授業(レッスン)の創案」と、そのレッスンに関してフィンランドの研究者からの助言を得るというものであった。 昨年度の進行状況を受け、本年度は、(1)高校での実践からのデータを分析して、小中学校での実践の成果の測定について検討を行うこと、(2)新たな授業の創案を教育委員会等の協力を得て行うこと、(3)昨年度できなかった海外の研究者との交流を行うこと、が目標である。 (2)授業(レッスン)の創案に関しては、複数の教育委員会との連携で、試行実践を促すための研修を7月末に行う。26年度に高校で行った実践のプログラム構成と評価項目を参考にして、小学校及び中学校での実践のアイディアをたくさん出していただく。さらに、ネット上での予防教育アプリの開発も別途並行して行うので将来的な統合を視野に入れて開発を行う。 (3)海外の研究者との交流に関しては、実践者の病状の回復が思わしくないために、実践者とともにフィンランドを訪問することは、現実的に不可能であると思われる。従って、まずは、将来的な研究の発展のために、日中韓の研究者の交流を行い、ネット問題を視野に入れるためにネットいじめの研究者をアメリカから招聘する。具体的には、9月に行われる日中韓の心理学会の合同シンポジウムの際に来日する中国と韓国の研究者との交流を行う。引き続き、11月には、ネットいじめ研究の第一人者であるアリゾナ大学のSheri Bauman教授を招聘する。12月には、韓国のいじめ研究の第一人者であるSeoul National UniversityのKwak教授を招聘する。フィンランドの研究者との交流に関しては、新たな実践の創案者のなかで、フィンランドの実践者に見せるのに値するものがあれば、一緒にフィンランドに行くことを検討する。その場合のフィンランド訪問は1月になる。
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次年度使用額が生じた理由 |
実践者の急病・入院のために、フィンランドに渡航しての実践の紹介や見学が実施できなくなったため、旅費に予定していた金額がかからなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
実践者の状況次第で、今年度中にフィンランドに渡航するか、あるいは、さらに平成28年度まで延期する可能性もある。また、フィンランドだけではなく、ネット問題に詳しい研究者を、アメリカや韓国から招聘する予定である。
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