公の場での逸脱行動が広まる過程を,逸脱行動への他者の態度を考慮するモデルを用いて検討した。作成したモデルを基にしたコンピュータ・シミュレーションの出力(予測値)と,質問紙で測定した逸脱頻度(実測値)間には正の相関が示され,一定の妥当性を持つことが示唆された。また,質問紙データの分析により,「遵守的な態度」を持つ一部の成員が,集団全体の逸脱行動を規定しうることが示された。 さらに,逸脱行動抑制のための授業案を作成し,大学生に実施した。質問紙調査によって効果を測定した結果,授業のレベルを「普通」と捉えた学生にのみ規範意識を向上させる傾向が見られ,「難しい」と捉えた者には変化は示されなかった。
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