今年度は,『やりとりの中で生じるネガティブ感情を如何に処理すれば,知の協同構成を促せるか』を明らかにしていくために,小学校3年生を対象に実験を行いました。 その結果,ネガティブ感情→ポジティブ感情という推移をやりとりの中で体験した研究協力者は,ポシティブ感情→ネガティブ感情という推移をやりとりの中で体験した研究協力者よりも,やりとりを通して課題の学習を促進させていることが判明しました。この結果は,ネガティブ感情→ポジティブ感情という感情の推移は,ポシティブ感情→ネガティブ感情という感情の推移を体験した研究協力者よりもポジティブ感情の生起の程度は低いものの,この条件では,自分の考えた課題の解き方が最初は否定されるため,この条件群は,なぜ否定されたのかを考え,考えの修正を迫られるためと考えられます。さらに,修正してだした考えが褒められることで,その考え(課題の解き方)の正しさを認識でき,その考えを一人で課題を行う際にも使用できたためと考えられます。その一方,ポシティブ感情→ネガティブ感情という感情の推移を体験した研究協力者は,課題への積極性も高まらない上,自分の考えを修正して使用する機会もあまりないために,どのような課題の解き方が良いのかをつかめず,やりとりを通して課題の学習を促進させられなかったと考えられます。 これらのことから,子どもの考えを改めさせた後は,子どもの修正した考えをきちんと認めてあげることが,子どもの学習の促しには重要というように,生起したネガティブ感情を適切に処理していくことの重要性が分かりました。
|