研究課題/領域番号 |
26380893
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
福田 恭介 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (30173347)
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研究分担者 |
志堂寺 和則 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (50243853)
早見 武人 岡山大学, 自然科学研究科, 講師 (60364113)
松尾 太加志 北九州市立大学, 文学部, 教授 (70229425)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 瞬目反応 / 発達障害児 / アセスメント / 眼球運動 |
研究実績の概要 |
「眼球運動・瞬目反応を用いた発達障害児の心理過程アセスメント」に関する研究に発達障害児の参加を求めるため,大学研究倫理審査委員会に申請を行い,平成27年1月27日に承認され,本格的に研究が開始されることになった。審査に時間を要したのは発達障害児のデータをとるに際して,個人情報保護だけでなくデータ採集が強制になるのではという懸念が示され,再申請を3回行ったためである。 これに先立ち,刺激の呈示システムについては,ATR社製のFutonを用いて平均顔を作成した。平成26年7月6日に会議を持ち,実験をどのように実施していくかについて話し合った。子どもたちには,これまでの実験で用いていたヘルメット装着タイプの小型カメラは使えないので,据え付け型のカメラが必要であることを確認した。さらに,据え付け型のカメラには子どもたちが興味を持って触ってくるので,触りにくいような設定が必要なことも確認した。また平成26年12月11日の会議においては,据え付け型のカメラ,ノートPCの画像刺激とカメラからの2つのデジタル信号を合成する装置,それらを録画する装置が必要なことが確認された。また,学生の瞬目データは採集でき平成27年度生理心理学会において発表予定である。 いっぽう,本研究の一部は,日本心理学会シンポジウム「瞬目研究の新展開:画像処理によるデータ分析」(2014/09/12),国際学会シンポジウム(IOP 2014)「The relationship between spontaneous eye blinks & cognitive processing」(2014/09/26)において話題提供された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究倫理審査に手間取ったものの,統制群としての学生のデータを取ることができた。そこでは,瞬目発生が表情認知によるものと表情の早期によるものという二つの心理過程と関連していることが示唆された。このことは,5月に開催される第33回日本生理心理学会大会で報告される予定である。発達障害児のデータ収集については,発達障害児の発達支援施設を経営している卒業生を通じて取ることが可能になり,今後,データをとるための道筋が明確になった。子ども向けの刺激呈示および瞬目記録の装置についても,どのような装置がもっとも妥当かが確認された。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,発達障害児の瞬目および眼球運動について測定を行っていく。この測定については福田が担当する。実験に際しては,子どもたちが機器類に触れにくいようにするためにPCや撮影装置はカバーで覆う。刺激呈示については既存のノートPCでコントロールされ,画像情報はHDMI信号として出力される。刺激呈示システムについては早見が担当する。子どもたちの目を含む顔の表情がビデオカメラHERO4で撮影されHDMI信号として出力される。2つの信号は,Roland V-4EXで1画面に合成され,ADTECHNO LCD1013BでモニターしながらHDRX-825にビデオ録画され,同時に外付けHDDに保存される。保存された画像情報は独立して分析が行われる。分析に際しては,志堂寺が開発したシステムを使って,瞬目の検出,および刺激オンセット時点,瞬目オンセット時点をとらえていく。記録画像を見ながら眼球運動の方向について分析を行っていく。これら全体が問題なく動いているかについては松尾が担当していく。
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