研究課題/領域番号 |
26380893
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
福田 恭介 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (30173347)
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研究分担者 |
志堂寺 和則 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (50243853)
早見 武人 岡山大学, 自然科学研究科, 講師 (60364113)
松尾 太加志 北九州市立大学, 文学部, 教授 (70229425)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Go・No-Go課題 / 発達障害児 / 反応時間 / 瞬目時間分布 |
研究実績の概要 |
ある時間間隔で呈示される刺激に対してボタン押しや計数を行うと,刺激直前及び刺激中には瞬目抑制が見られ,刺激後0.5秒以降に瞬目率ピークを形成することから,瞬目抑制は処理(期待・情報の取り込み)と,瞬目発生(ピーク)は処理終了といった認知過程との関連が示されている。 われわれは3年間にわたる科研費で,発達障害児9名,定型発達児7名,成人9名に顔位置課題・視線課題という2つの課題に取り組んでもらい,ボタンを押すGo課題とボタンを押してはならないNo-Go課題に従事しているときの正答率・反応時間といった行動指標に加えて,瞬目時間分布による生理指標について調べてきた。顔位置課題では,顔マークが左・中央・右のいずれかに呈示され,中央のみNo-Go反応,左右ではGo反応を求め,視線課題では,目を開けたとき視線が左・正面・右のいずれかを向いており,正面のみNo-Go,左右ではGo反応を求めるものであった。 その結果,視線課題の反応時間は顔位置課題に比べて有意に短かったが,誤り率には有意差は見られなかった。また,発達障害児・定型発達児と比較すると,成人の正答率のみが高く,反応時間も短いことが示されたが,発達障害児特有の反応は見られず,WISC-IIIにおいても特徴は見られなかった。しかしながら,瞬目時間分布で見ると,成人や定型発達児ではGo課題に比べてNo-Go課題における瞬目発生が早まったのに対し,発達障害児ではGo課題に比べてNo-Go課題における瞬目発生が遅れを示した。このことは,No-Go課題において行動を抑制する場合,発達障害群では,ボタン押し抑制に関与している前頭前野により多くの負荷がかかり,そのことが瞬目発生を遅らせていると考えられた。このことは行動抑制時の瞬目発生タイミングが発達障害のアセスメントとして有用なことを示唆している。
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