本研究では、学齢期の自閉症スペクトラム児を対象として、自伝的記憶の想起と社会性の障害との関係性について検討した。その結果、知的障害のある自閉症スペクトラム児は、自閉症スペクトラムを伴わない知的障害児と比較して、感情に関する単語よりも時代区分に関する単語を提示された際に特定の出来事を想起する傾向にあった。また、自閉症スペクトラム児は自己の行為とその結果の因果関係の理解が困難であった。自伝的記憶と心の理論との関連について、ポジティブな単語を提示した際、心の理論を通過した対象児において特定の出来事が想起された数は、通過しなかった対象児において想起された特定の出来事の数を有意に上回っていた。
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