研究課題/領域番号 |
26380897
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研究機関 | 東京福祉大学 |
研究代表者 |
成本 忠正 東京福祉大学, 心理学部, 准教授 (60434560)
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研究分担者 |
松浦 直己 東京福祉大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (20452518)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ADHD / 空間短期記憶 |
研究実績の概要 |
注意欠如多動性障害 (Attention Deficit / Hyperactivity Disorder:ADHD) をもつ児童生徒の空間短期記憶 (すなわち,継時呈示される空間位置とその順序あるいは軌跡の保持) 能力は,健常児よりも著しく低い。特に、多動よりも注意欠如が優勢な児童にみられる現象である。この記憶能力の低さは,算数や理科の学習力の低さに関連することが指摘されている。本研究では,上記の障害をもつ児童の空間短期記憶能力において,位置情報と継時提示に伴う軌跡の保持に問題があるのか,それともどちらかの情報を一時的に保持することに問題があるのかを検討することが本年度および来年度の目的であった。平成26年度の前半部分では,Narimoto (研究代表者) and Quinnが、若年健常者用に考案した空間スパン課題を健常児およびADHD児に適用可能となるよう課題難度を調整する予定であった。しかし、課題調整に時間がかかり、本年度後半にずれ込んでしまった。その主たる理由は、調整の都度プログラムを修正しなければならず、予想以上に時間がかかってしまったからである。現在、調整がほぼ終了している。実験参加者として必要となるADHD児の半数が確定している。彼らのIQ(WISC-IV)測定もほぼ完了している。平成26年度は、実験参加者の募集のお手伝いならびに実験実施に向けての協力をいただいている平谷発達こどもクリニックにて、継続的にミーティングを行った。今後も
平成26年度には、キプロスで開催された国際ワークショップ(European Workshop on Imagery and Cognition)および国内で開催された学会(ワーキングメモリ学会)にて、本研究で応用的に利用する空間スパン課題の有用性を口頭発表した。また、この研究成果は原著論文として雑誌"Memory"に投稿している。現在、査読者からのコメントをもとに、最終段階の修正を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、若年健常者(大学生)の空間短期記憶研究で利用した空間スパン課題の改良版を健常児およびADHD児の空間短期記憶測定に用いる予定である。この課題はパソコン上で実施することから、修正のつど、プログラムの変更が必要となる。このため、予定したスケジュールが少し遅れてしまいました。
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今後の研究の推進方策 |
実験プログラムがほぼ完成しており、ADHD児の募集も順調です。今後もADHD児の募集を継続し、また統制群としての健常児の募集も行う予定です。平谷発達こどもクリニックの協力もいただいており、実験環境も問題はありません。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度後半から実験を開始する予定であったが、実験プログラムの完成に時間がかかってしまい、実験が27年度にずれ込んでしまった。そのため当初予定していた人件費、謝金、ならびに消耗品の購入に助成金を利用しなかったため。また、研究成果の報告のため、国際学会に数回参加する予定であったが、26年度は研究成果発表を1回しか行うことができず、そのために当初予定していた旅費に助成金の利用がなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
実験実施に伴う人件費、参加していただいた親御さんへの謝礼金、データ整理・分析に伴う消耗品の購入、ならびに国内外での研究成果報告に必要な旅費に相当の助成金を利用する。
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