注意欠如多動性障害(ADHD)を持つ児童の空間短期記憶 (継時呈示される空間位置とその順序の保持) 能力は,健常児よりも低い。本研究では,ADHD児の空間短期記憶能力において,記銘時における不注意によって正確に情報を入力できていないのか、それとも記銘後の一時的保持の能力自体に問題があるのかを確かめることであった。 本実験の結果、ADHD児の空間短期記憶の低さは、注意の問題ではなく、保持能力の弱さに起因していると考えられる。ゆえに、教科学習の指導では、ADHD児に一時的に情報を保持させるという認知負荷をかけるのではなく、情報を忘れないよう書くという訓練を行うべきと考える。
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