本研究は、「子どものネガティブ表出を受け止める養育力」を高めることが虐待予防の鍵だという着眼点から、乳幼児を持つ母親のインタビュー調査の結果を基に「子どものネガティブ表出を受け止める養育力尺度」を開発し、調査研究を系統的に行った。因子分析の結果から「怒りによる統制」「感情の混乱」「回避・統制不能」「配慮・説明」という4因子構造が確認できた。虐待行為傾向得点を高める従来のリスク要因である育児不安や精神的不健康よりも養育力の影響のほうが強いことが示された。さらに養育力と母親の子どもと遊ぶ力、自己やしつけへの認知、対人関係、子どもの社会性の発達との関連を踏まえて親の養育力を高める方略を提案した。
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