研究課題/領域番号 |
26380899
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研究機関 | 跡見学園女子大学 |
研究代表者 |
山口 豊一 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (10348154)
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研究分担者 |
山谷 敬三郎 北翔大学, 教育文化学部, 教授 (40310106)
本田 真大 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40579140)
水野 治久 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (80282937)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 学校コミュニティ / 心理職活用 / 学校マネジメント / 管理職 / 尺度開発 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、主に学校組織の責任者である管理職及びミドルリーダーを調査対象者として、学校コミュニティにおける心理職の効果的な活用システムの開発に関する検討を行うことである。 そこでまず、予備調査として、平成26年度の研究を参考に、学校組織における心理職の有効活用に関する項目及び児童生徒の問題行動への対応困難度に関する項目を収集・選定して、質問項目を作成し、作成した質問項目を用いて関東近郊の小・中・高等学校に在籍する教職員計63名を対象に質問紙調査を行った。その結果、学校コミュニティにおける心理職活用に関する質問項目計38項目が選定された。さらに、同様に児童生徒問題対応困難度に関する質問項目計8項目が選定された。 次に、本調査として予備調査で作成した質問項目をもとに心理職活用尺度及び児童生徒問題対応困難度に関する尺度を作成し、管理職・ミドルリーダー926名を対象に質問紙調査を行い、性差、年齢差、所属、役職との関連および心理職活用と児童生徒問題対応困難度との関連について検討を行った。その結果、心理職活用尺度は「心理職の有用性」、「心理職への評価」、「心理職の活用体制」の3因子で構成されることが明らかとなった。また、児童生徒問題対応困難度尺度は、8項目1因子構造で構成されることが明らかとなった。さらに心理職活用尺度を所属校別にみると、3下位尺度において、小学校や高等学校、特別支援学校よりも中学校で有意に高かった。さらに、3下位尺度において各ミドルリーダー群と比べて校長群・教頭群における得点が高かった。さらに、児童生徒の問題行動に対して対応困難な場合、心理職の活用,特に心理職の活用体制がうまく機能していない可能性が示唆された。よって、学校コミュニティにおいて児童生徒の問題に対応するには、心理職の活用体制を整えることが重要であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
下記の理由から、平成27年度の研究計画であった「平成26年度の研究結果から、学校マネジメントシステムの項目を作り、アンケート調査からそのコンテンツを明らかにする」という目的は達成されたと考える。 ①平成26年度の研究で得られた概念を基に質問項目を作成し、教職員を対象とした質問紙調査を実施した。 ②①の予備調査の結果、心理職活用に関する質問項目計38項目が選定された。さらに、本調査にて管理職・ミドルリーダーを対象とした質問紙調査を行った結果、22項目からなる心理職活用尺度が作成され、「心理職の有用性」、「心理職への評価」、「心理職の活用体制」の3つのコンテンツを含むことが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、実践研究として、調査研究協力校、協力教育委員会の中から、実践研究協力校(小・中・高)、教育委員会、各一か所ずつに依頼する。研究代表者、研究分担者、連携研究者が協力校及び教育委員会の援助サービスのマネジメント委員会に参加し、援助サービスにおける心理職活用の学校マネジメントの実際と問題点、改善点に焦点を当てて観察し、検討する。その際、平成27年度で作成した「心理職活用尺度」を用いる。 さらに、調査研究として、関東圏内、北海道、大阪、高知などの教職員(管理職)を対象とした調査を行い、学校マネジメントシステム(心理職活用)尺度を作成する。作成された尺度を基に調査を行い、学校マネジメントシステムの実態を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査にかかる旅費や、研究分担者との打ち合わせにかかる費用を見越していたが、日程調整が困難になり、メールや郵送による情報共有・交換に変更を行ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は研究最終年度であり、研究の総括を行うことから、調査及び結果分析、学会発表等のための研究分担者との打ち合わせにかかる旅費等の費用に充当する。
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