研究実績の概要 |
本研究では,中学校を対象として,学校コミュニティの中での心理職の効果的な活用を促す学校マネジメントシステムの開発を目的とした。言い換えれば,SC等の心理職を有効に活用するシステムの提示が本研究の目的である。心理職活用に深くかかわる学校の管理職及び市町村教育委員会の指導主事・職員を研究協力者として,以下の4つの研究を行った。 第一に,心理職活用に関する現状,問題を明らかにするために質的研究法を用いて現状や問題点を検討した。その結果,SC活用体制の整備などの課題が示唆された。 第二に,質的研究法のデータを基に心理職活用の学校マネジメントシステムに関する項目を作成した。その結果,72項目の質問項目が作成された。 第三に,管理職(校長,副校長・教頭)を対象とした心理職活用尺度の作成を行い,学校マネジメント尺度および問題対応困難尺度との関連を検討した。その結果,「SSWの活用」「教員と心理職の情報共有」「他職種との協働」「事例検討会の活用」「特別支援コーディネーターの活用」「相談室の活用」「心理職の評価」の7因子48項目の心理職活用尺度(管理職用)が作成された。また,性別,年齢,所属,役職,経験年数によって,マネジメント委員会機能,心理職活用,及び問題対応困難度に差が出ることが明らかとなった。さらに, マネジメント委員会が機能すると,心理職活用が促進されることが明らかとなった。 第四に,心理職の効果的活用を目的として生徒指導部委員会(援助サービスのマネジメントを担う組織)への心理的な介入を行い,教師及び生徒に対してどのような影響を与えるかを検討した。その結果,教師においては「心理職の有用性」が高まることが示唆された。生徒においては,学校適応感が高まった。 なお,今後は,調査対象校を増やすとともに,介入方法の工夫が求められる。
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