研究課題/領域番号 |
26380909
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
水野 里恵 中京大学, 心理学部, 教授 (10321019)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 「自己」の制御 / 行動的抑制傾向 / エフォートフル・コントロール |
研究実績の概要 |
平成27年度は,以下の2つのデータを収集した。 (1)コホート3の子どもが65ヶ月齢の時点で,63名を対象に,対人場面での「自己」の制御行動,気質質問紙への回答を求めた。また,コホート3と同コホートに属する2010年生まれの子どもたち524名を対象に母親に回答を求めるウェブ調査を行った。データの分析の結果,(1) 主張面の自己制御行動尺度得点の平均値は抑制面の平均値と比較して有意に高かった。(2) (a)友達といる場合には主張面・抑制面の平均値に有意な差はなかったが、(b)(c)ともに、主張面の平均値が抑制面の平均値より有意に高くなった。 (3) 主張面の自己制御行動の平均値は(a)が(b)(c)より有意に低かった。(4) 抑制面の自己制御行動の平均値は(b)が(a)(c)より有意に低かった。母親の場合も子どもと同様の行動をとっていた。すなわち、家族に対する行動と町内会・親戚に対してとる行動は異なっていた。 (2)30ヶ月齢9名・48ヶ月齢11名の子どもたちに対して気質測定を行った。昨年度までに測定が完了しているコホート3の30ヶ月齢21名,48ヶ月齢児19名のデータと併せて,現在,それらのデータ分析中である。 (3)60ヶ月齢児を対象に,実行機能課題を含めたエフォートフル・コントロール測定場面の考案を行い,実験場面の精緻化(トライアウト)を行った後,20名に対して本調査を行った。以下にある8つの課題を設定した。8つのうち,3つの課題は注意機能 (タスクスイッチング,葛藤抑制,アップデーティング) を,5つの課題は抑制機能 (遅延抑制) を測定する課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
縦断研究というデータ収集の特性上,研究協力者が減少していく事態に陥っている。頑健な研究成果に結びつけるためには,標本数の充足が必要となり,ウェブ調査でコホート3と同じコホートに属する子ども(第一子)を持つ親に質問紙による「自己」制御行動の測定を行った。また,コホート3より若いコホートの子どもを対象に30ヶ月齢・48ヶ月齢・60ヶ月齢のデータを加える作業を平行して実施している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
コホート3の子どもを対象に,対人場面での「自己」の制御行動を測定する実験観察調査を実施する。そして,そのデータを含め,これまでに蓄積されているコホート3の縦断データの総合的な分析を行って,成果報告書の作成をする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学術雑誌に投稿する論文の作成に時間がかかり,英文校閲に関する支払いが次年度になったこと,ならびに,実験参加者の日程調整の関係で次年度に観察実験が延期になったため。
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次年度使用額の使用計画 |
投稿に係る英文校閲費の支払いと研究参加者謝金としての図書カードの購入に充てる。
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