最後の年である平成28年度については、ぐんま国際アカデミーの先生方からの助言と協力を受け、子どもたちの総合的な英語の技能についての調査、および高等部に在籍する12名の生徒を対象とした聞き取り調査等を実施した。分析は、まだ完了していないが、かなり貴重なデータが得られている。 例えば、中学部においては、理科や数学は、一週間に原則として英語での授業が3時間と日本語での授業が1時間で構成されている。そのような教科についての生徒たちの率直なコメントや感想を聴くことができた。それらをもとに、日本のイマージョン教育の具体的な改善点が見いだされた。 その一つは、同一教科を二言語で教えることには、子どもをバイリンガルに育てるという目標からも積極的な意義が見いだせる。片方の言語で理解できなかったことが、他方の言語で理解できたり、普段は意識しなかった専門用語の訳語が、改めて確認できるなどのメリットがある。 また、デメリットとして、試験時の生徒側の負担が多いことや、具体的な単元が異なっているときには、直接的なメリットが感じにくいということなどから、同一教科を担当する二人の教師が協調して、できるだけ同じ単元を同時に教えること、それぞれの教師が生徒側の反応についての情報を共有していくことなどが、大切であることなどが示唆された。 また、日本語力の学習保障については、フィールドで使用した学校では、意識的に日本語での読書などを奨励していたが、そのような授業以外での学習の取り組みも有効であることなどが確認できた。
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