研究課題
今年度(最終年度)に実施した研究は、昨年度からの継続である小学生の算数問題解決の縦断的研究であった。すなわち、小学6年生になった児童に、タブレット端末にメタ認知方略(具体的には、児童が問題解決のステップを自己説明する)を組み込んだ算数問題を解かせた。1学期と2学期の各学期に、児童に20分程度のタブレット端末による算数問題解決を2回実施し、その後、本テスト、ならびに自己説明テスト用紙への回答をさせた。あわせて、研究の最終段階として、2学期には転移テストを実施した。その結果、①児童を昨年度の5年生1学期の成績に基づいて、上位群、中位群、並びに下位群の3群に区分したとき、算数問題解決の成績のパターンには変化は見られなかったが、下位群の児童でも積極的に自己説明できるようになってきた。②転移テストに関しては、上位群と下位群の間にそれほど顕著な差異が認められず、自己説明の効果がみられたともいえるだろう。本研究は1年目に研究の準備のために小学校での実証研究はできず、縦断的研究は昨年度の小学5年生の1学期から今年度の小学6年生の2学期までの2年間であった。その結果、①コンピュータ室に備え付けられているデスクトップ型のコンピュータではなく、児童が教室で空き時間に利用できるタブレット端末のコンピュータにより、算数問題解決の課題に気軽にアプローチできること、②児童を小学5年生1学期の成績に基づいて上位群、中位群、並びに下位群の3群に区分し、自己説明というメタ認知方略をコンピュータに組み込むことで算数問題の解決を吟味したとき、言葉を必要とする算数問題(転移課題)で上位群と下位群の差異が小さくなったことは、児童の適応的な処理の開発を試みた本研究成果として指摘できる。
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神戸親和女子大学大学院研究紀要
巻: 13 ページ: 25-33
神戸親和女子大学研究論叢
巻: 50 ページ: 19-28