本研究では、規範意識を持ちながらも、いじめ加害あるいはいじめへの加担をする子どもの存在に着目し、いじめが発生する心理的プロセスについてマイクロ(個人)とマクロ(集団)の両側面から検討をおこなうことによりいじめの予防策について考えることを目的とした。小学4年生から中学3年生を対象に、3年間で計7回の質問紙調査を実施した結果、いじめの負の連鎖(加害者と被害者が入れ替わるような状況)に学級風土が関わっている可能性や、いじめ場面で見て見ぬふりをする傍観行動をピアプレッシャーへの敏感さや同調傾性、moral disengagement(自分に都合の良い解釈をする傾向)が予測する可能性を明らかにした。
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